落語・講談・浪曲 日本演芸なんでもござれ

自称・演芸ブロガーが語る日本演芸(落語・講談・浪曲)ブログ!

Youtubeの『集中力高める系音楽』は本当に効果があるのか。 2018年6月4日

とある長屋の倹約家、ケチ兵衛さん。隣にある日鰻屋が出来た。

ケチ兵衛さん、鰻屋から漂ってくる鰻を焼く匂いで飯を食うことにした。

すると、その話を聞いた鰻屋の旦那が「お代を貰ってこい」と使いに言い付けた。

使いがケチ兵衛さんの家にやってきた。

「すいませんが、お金を頂けませんか?」

ケチ兵衛さん、不思議なものを見るような顔で

「何っ?私は鰻は買っていませんよ」

使いが思わず、

「あの~、鰻の嗅ぎ代ということで」

納得したケチ兵衛さん、棚から金の入った巾着を持ってきて、

「どうだ、分かるか?」

巾着の中でお金が擦りあう音がする。使いの者が困った表情で、

「あの~、これはいったいどういう意味で?」

するとケチ兵衛さん、にやりと笑って、

「これはお金の聴かせ代だ」

  どんな時代でも、商品には魅惑のキャッチコピーが付くものだ。むしろ、そのキャッチコピーのために日々アイディアを振り絞っている人間がいる。かくいう私も文章を書きながら、どうやったら視聴数を稼げるか模索している。例えば、知名度の高い人に紹介をしてもらうとか、とにかく広告を刷ってアピールするとか、キャッチコピー本体の質もあるが、物理的なアピール戦略というものも幾つかあるだろう。売れるものが全て優れているとは限らないのは、そういったアピール戦略によって爆発的に知名度をあげていくコンテンツがあるからだ。

 さて、Youtubeには数多の『集中力を高める音楽』というものが散見される。全く別の種類では『絶対イケる催眠音声』とか、『百パーセントかかる暗示』とか、『一生安眠できる!』とか、そういった人の心を煽る文章が付けられた音楽がある。

 

 そういう類の音楽に果たして効果はあるのか?

 ただの思い込みなんじゃないか?

 

 著者はそんなことを思った。大体、勉強に集中できる音楽などというものは存在しないと思う。勉強中に音楽を記憶力がアップするとか、長時間できるとか、それが果たして本当なのか試してみたかった。

 

 最初に再生回数の多い曲を選んで聞いてみることにした。どれも似通った長時間の音楽が多々あった。再生回数は平均して300万回が断トツで多い。そして、そういう音楽をアップしているチャンネルは、ほかのサイトに誘導させるためにURLを間違いなく概要欄に載せている。つまり、これが意味することは『効果があったと思ったら、ぜひこちらもお試し下さい』という、いわば『儲けるためのシステム』が隠されているのだ。

 視聴回数を増やすことで広告利益、もしくは集中力を高める音楽に興味のある人々を収集することによって利益を得ようとする団体がYoutubeに動画をあげている。全てがそうとは限らないが、大半はそのような団体(あるいは個人)によって運営されている。

 集中力を高める音楽を無料で公開しているということは、それを聞いた人々に対してそれほど責任を持っていないという意志の表れだと思う。本当に集中力が上がるのならば、とっくに商売にしていてもおかしくない。集中力を高める音楽を作曲する集団でも作れば、まず間違いなく売れるだろう。実は、こういうことをしない理由がいくつかある。

 まず、一つ目の理由は『科学的根拠が無い』ということ。訳の分からない賞を受賞していたり、『すごい効果!勉強がはかどる!記憶力向上!』というキャッチコピーの付いた楽曲には、間違いなく『根拠を証明する人物』とか『科学的データ』が一切ない。むしろ、適当にでっち挙げられた『α波』とかを信じ込み、この曲は自分に効果がある筈だ!という思い込みによって集中力を高める音楽にリスナーは盲目になる。

 人間というのは与えられた情報が少ないと、その情報を無意識のうちに補おうとする性質がある。と書くと、その根拠をいちいち調べてから次の文章を読む人間など殆どいない。大体は「えー、そうなの?」とか「嘘だろうなー」とかぼんやり「そうなんだー」くらいに分かれると思う。まぁ、とにかく話を先に進めるために、人間は騙されやすいと思ってほしい。

 

 集中力を高める系の音楽について、結論から言えば『行っている作業の内容によって効果は違う』ということだ。

 

 行っている作業について詳しく記すと『単調作業下での音楽は効果絶大』、『勉強等の作業時はマイナス効果』ということである。単調作業とは同じことを繰り返す作業だ。これは音楽を聴くことでリズムを作りやすく、何より単調な作業は飽きやすいという点を解消してくれる。逆に勉強等の何かを記憶する作業の時はむしろ無音の方が良い。寺の坊主だってハードロックを聞きながらお経を覚えようとする人間は一人もいない。静かな自然の中でひたすらに般若心経なりを書いて記憶する。

 落語も講談も浪曲も、まずはテンポと抑揚を身に付けるものである。そんな時に一定のリズムを刻む音楽を聴いていたらとてもじゃないが覚えることは出来ない。

 だから、何かを記憶するときはYoutubeの音楽に頼らず無音の中で、自分の心の声だけを聴いて勉強することが大事である。

 なにも考えず同じことを繰り替えすだけならば、何か他に刺激を求めて音楽を聴くのが良い。

 検証結果のご報告。