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心のこもったヨイショの先にあるもの~2019年9月8日 湯島天神 謝楽祭~

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落語好きなら一度はおいで

感謝 感謝の 謝楽祭

全てのことはメッセージ

楽しく笑って触れ合って

人と人との温かさ

嗚呼 今日という一日に

嬉しいあなたの心意気

『心を込めてヨイショ!』

開幕 

 

まえがき

落語好きの皆様、祭り好きの皆様、お待たせ致しました。森野照葉でございます(妙に仰々しい)。私、この度、謝楽祭記事に関しては若干、いつもと方針を変え、謝楽祭に行けなかった皆様のために、また、謝楽祭に参加した皆様のために、どちらにも楽しんで頂ける記事を書いて行こうと思います。

というわけで、私の体験を追体験する形で、私の一日の行動を詳細に記すことと致しましょう。

 

 目覚めの朝、湯島天神へ。

朝4時30分起床。謝楽祭です。そう、謝楽祭です。しぇからしか!ではございません。ご安心ください、謝楽祭です。身支度を整え、湯島天神へと向かいました。7時30分には列に並びました。早すぎました。ラダニアン・トムリンソン並みの速さでした。この段階では、まだ並ぶ人は一桁でしたが、読み通り8時30分頃から爆発的に人の列が増え、9時30分ごろには150人に達していたとのことでした。まさに謝楽祭の産業革命が8時30分には起こっていたのです。

さて、去年の私は調子の舟を自堕落な若旦那の如く漕いており、それこそ1時間前に列に並んだのですが、サートゥルナーリアよろしくの出遅れた感があったため、今回は思い切って早めに列に並びました。iPhone発売日かと思うほどの速さで並びました。そこで、私は新しい楽しみを発見したのです。

それは、『噺家さんの会場入りの様子を見ること』でした。正直、こんなに面白いのかと驚いたくらいです。自転車で入場する才賀師匠。タクシーで入る喬之助師匠、喬太郎師匠、正蔵師匠、その他、文楽師匠や市馬師匠のお弟子さん達など、様々な方が入場する様子を見ることが出来たのは、とても嬉しかったです。そして、一人一人が丁寧に挨拶をしてくれました。喬太郎師匠と目と目が合う。そこから恋が始まる、訳もなく、私はドキドキしながら開会の10時を待っていたのでした。忠犬ハチ公のように。

もう一つ発見もありました。それは8時に朝礼があることです。工事現場じゃないです。祭りの現場です。

実行委員長のたい平師匠が司会となり、落語協会所属の早々たる面々が輪になって朝礼を行っているのです。そこでは、最後の掛け声が素敵でした。

たい平師匠の「心をこめて~?」の後で、皆が一斉に、

 

「「「「「ヨイショー!!!!!」」」」」

 

と、声を合わせて叫んでいました。あの場面を見ることが出来たのも、早く並んだおかげだったと思います。文蔵師匠と菊之丞師匠の会場準備の様子も見ることができ、とても幸福でした。

 

福扇をGetしたら、即座に松島屋へ

如何に効率よく巡るか。これが私のテーマです。天駆ける馬、疾風の如し、です。福扇で白玉を見て景品を貰った直後、混雑状況を推測し、一路、エボエボBOSEのある店へと駆けました。人混みに一切左右されないルート、そう、『唐門~本殿通りの鳥居間ルート』こそ、エボエボBOSE攻略における最短ルートなのです。距離・混雑量を加味しても最速。誰の邪魔もなく目指せる最短のタッチダウンルート。世界中の優秀なランニングバックが、こぞって選択するルートを、私は駆けました。脱兎の如く。

しかし、見事なタッチダウンを決めた私でしたが、エボエボの混雑状況を見てスルー、ここでの時間ロスはいかんと、すぐに松島屋へ向かいました。

 

エボエボから松島屋へ

天駆ける馬は止まることを知りません。馬はマグロになりました。そう、マグロは止まると死ぬのです。眠る時さえ目を開けて眠るのです。鰯の群れ、失礼、人混みを掻き分けて、脳内に完全にインプットした屋台ゾーンの配置を、鷹の眼の如く遥か高みから自分を鳥瞰して見るのです。今自分が、図面のどの位置にいるのかハッキリと認識できるのです。サッカー選手だったらベルギーのデブライネと同じ俯瞰視点で私は自分を見ていたのです。鳥瞰ですよ。超感動しませんか。超考えてるんですよ。超簡単なことじゃないんですよ、長官。

冗談はさておき、私は一目散にも二目散にも龍角散にも、春風亭一門の『みそ田楽』が販売されている『松島屋』へ急行しました。見事な低空飛行で空を滑空し、受付にいた春風亭朝七さんからクリアファイルをゲット、写真もゲット。そこからみそ田楽を購入し、一朝一門の写真をゲット。笑顔の無いクールな㐂いちさんの写真をゲット。

ここまでの所要時間、僅か9分。最速ではないですか。福扇→松島屋までの目標達成時間、なんと僅か9分ですよ!!!と言っても、福扇で3時間近く並んでいるというオチ。。。

 

即刻、エボエボへリターン

手薄になった本殿の通りを駆け抜け、再びエボエボへ。狙い通りの薄い並び。即座にツイートしたのが10時12分。すなわち、松島屋→エボエボ間を3分で移動している。インスタントラーメン一個分である。その間にみそ田楽の食事はもちろん終えている。

列に並んだ私がたこ焼きを食すまでにかかった時間、僅か8分。どうですか。その間に、私は菊之丞師匠とのツーショットを決め、そこからたこ焼きのしょうゆ味を食したのです。この時短、これぞ謝楽祭に参加した者だけが見つけられる、最速のルートだと思いませんか。えっ、思わない!?がびーん。

時刻はなんと、まだ10時20分弱。たった20分の間に、福扇から超人気店の二つを制覇するという偉業を成し遂げたのです。といっても、何度も言いますが、3時間福扇に並んでいる私です。。。

とにかく、これぞ最短の奥義。宮本武蔵もびっくりの『謝楽祭の書』の効果でした。

格言としては、『福扇の並びを制する者は、謝楽祭を制する』です。

完全に調子の舟に乗って、爆漕ぎしておる。

 

持て余した解放感ゆえの時間ロス

自分でも衝撃的な速さで目標を達成してしまった私。競馬で言えばオッズが1.0倍のディープインパクトの気持ちでした。何を賭けても、賭けた分がそのまま帰ってくるという無意味の境地。

圧倒的な時短行動は完全に私を狂わせました。

一体、私は次にどこへ行けば良いというのか。そんな考えに支配されたのです。

船長を失ったクルーの如く、船内をあたふたと歩き回る私。

砂漠に放り出されたマグロ。

とりあえず物販コーナーに行くも、特に欲しいものが無く、目当てはまだピークが去ってから狙おうという、計画に準ずる性格が災いし、軽いパニックに陥る。例えるならば、子供が「パパー!お菓子買ってー!」と言った瞬間に口にお菓子を放り込まれるような感覚をずっと味わっていたのです。

唐突な願望の達成に混乱した子供は、お菓子を得た喜びを感じるのに時間がかかり、「えっ、お菓子・・・えっ!?」という、自分でも何を望んでいたのか分からなくなる状態。

これぞ、時短ゆえの空中浮遊。悪夢の無重力

何をトチ狂ったのか、見慣れた顔のサンキューさんと一平さんのいるアサダ二世さんのブースに行き、特に欲しくも無いが写真を撮る手前、買わなきゃ失礼だと思い、缶バッチ四種を買うという愚行に走った(いや、善行だけども)。

本来であれば、もっと遅い時間に回る筈だった物販ブースが、予想以上に早く回れてしまったが故のパニック。こうなった私はただ焦りながらも、『写真を撮ろう』と思い立ちます。

サインに応じる小猫さん。志ん生師匠のブースで古今亭一門のサインを見せる菊寿師匠。なぜか屋台ブースの混雑状況を写真に撮りながら、特に何も出来ずに11時を迎えたのでした。

考えてみれば、この時に『円山暴挙』に名前を書いておけば良かったのです。似顔絵を描いてもらえばよかったという後悔が残りました。自分の作戦が上手くいかないという予想は多くしても、自分の予想が上手くいった後のことは、まったくもって考えていなかったのです。なんと、寂しい思考力。次回に活かします。

 

のど自慢大会 開幕

11時になると、イベント『のど自慢大会』の開幕です。林家ぼたんさんと林家たけ平師匠の司会。

市馬師匠のアカペラ熱唱の後、扇兵衛さんの市馬師匠好みの渋い歌唱。はん治師匠の石原裕次郎、こみち師匠の偉大なる伴奏、小傳次師匠の土建屋と勘違いするかのような吉幾三、わん丈さんのアリーナ感炸裂のTUBE、あずみさんの色っぽい中島みゆき、きく麿師匠のクレイジー・プー、途中ワイロ、文生師匠の歌詞みまくりで天候悪化の歌唱、志ん吉さんのエロい金髪、かゑるさんのペーさん激似物真似、権太楼師匠と扇遊師匠の豪華すぎるデュエット、茶番も込みで笑えるおきゃんでぃーず、そしてトリは、座布団を被ったたい平師匠のヨイトマケでフィニッシュ。

何と言っても、きく麿師匠の衣装と歌は最高で、会場は大爆笑。あんなん笑うしかない!!!

わん丈さんは見事な歌声を披露して、見事に大賞でした。

噺家の新たな一面も見れる『のど自慢大会』、落語以外でもこんなに素敵な芸をお持ちの皆さん、めちゃくちゃ笑ったイベントでした!

 

 突然の大雨、そんなの吹き飛ばせ!

丁度、のど自慢大会の優勝発表辺りから大粒の雨がざあっと降りだしました。即座に脇に逃げ込む私。水も滴る良い男なので、水に濡れると良い男になりすぎるという懸念は一切しておりませんが、雨が過ぎるのを待ちました。

途中、和助さん、小もんさん、やなぎさんの曲芸・数字当ての茶番を眺めて時間を過ごし、その後再び物販ブースへ。

そこで、見覚えのある顔をアサダ二世先生のブースで発見。

そこにいたのは、

 

 えっ!!??

 おさむさんっ!!!???

 

思わず心拍数の上がる私。ナツノカモ低温劇団に所属し、昨日のカレーを温めてというお笑いコンビを組み、元オフィス北野で、『ノットヒーローインタビュー』という伝説的なコントで、大爆笑をかっさらった天才、みんなのおさむさんがそこにいたのです。思わず「おさむさんですか!?」と声をかけると、驚いた様子で「はいっ!」と答えるおさむさん。私はていおんで毎日見てることを伝え、「写真を撮ってもいいですか!?」と聞き、写真を一枚。なんて素敵な笑顔。

おさむさんは、天才です。天性の面白さを兼ね備えているのです。そんな人を私が見紛う筈も無いのです。嬉しくて握手をしてもらいました。きっとサンキューさんに誘われたのかも知れません。あの場にいた何人が気づいたか分からないけれど、おさむさんがいたのは衝撃的でした。

時刻は12時20分ほど。このタイミングであれば、立呑屋文蔵は手薄になっているだろうと考え、足早に向かいました。案の定、文蔵師匠のサインの列は長蛇でしたが、狙い目の塩モツ煮込みは手薄。チャンスとばかりに一杯購入。

受付に立っていた文吾さんにお願いして一枚パシャリ。偉大なる文蔵師匠の一番弟子にして、流麗なる語りを持ち、ひたすらに逞しく明るい文吾さん。今月のシブラクで見るのが待ち遠し二ツ目噺家さんです。

この辺りで、正気に戻ってきた私は、サイン帳を求めようと思いました。しかし、時すでに遅く完売でした。仕方なく、傍にあったソフトドリンクを購入。すると、パンフレットコーナーに台所おさん師匠がいらっしゃいました!!!

私は台所おさん師匠の醸し出す雰囲気が大好きです。噺の温度が大好きなのです。二度寝するときの布団の温度と、おさん師匠の噺の温度は同じような気がするのです。そのぬくもりの温かさに、安心して心が休まるのです。

だから、おそるおそる近づいておさん師匠にサインを頂きました。そしてお写真も。何と言えば良いのでしょう。私はおさん師匠の醸し出す落語家としての雰囲気が、たまらなく好きなのです。この人となら、学生時代にたくさん色んなことを楽しめたであろうという、そんな不思議な気の合う感じがするのです。

すっかりと晴れた空。狐も何度嫁入りすれば気が済むというのかと思いましたが、ようやく婚礼の儀も終わった様子。喜常に、なんて言葉を思いながら、私は物販ブースへと向かいました。

 

物販にて、計画通り

去年に比べ、予想以上に混んでいたのが寄席文字の店でした。去年は今年のような込み具合はしていなかったように思います。私も割とあっさり買えた印象がありました。

ところが、今回は随分と並んでいます。たまたま一人しか書く人がいなかったというのもあるかも知れません。結構待っていたためか、新真打&二ツ目のお話を遠くで聴きながら、私は『恕』という文字を書いてもらいました。そう、孔子が『恕かな』と言ったという一文字です。一瞬、寄席文字を書く人が「ん?これは、えっと・・・」と言って、戸惑わせてしまいましたが、私は「えっと、じょ、と言います」と言うと、「ああ、はい・・・」と不思議な様子で書いてくれました。

時刻はすっかり14時に近づいており、次のイベント、『三K辰文舎ライブ』です。

 

 三K辰文舎ライブ 開演!!!

去年のほたるさんによるライブを見ることは出来ませんでしたが、2017年に聞いた三K辰文舎ライブ以来のライブ。つまり二年越しのライブです。

文蔵師匠の歌に始まり、扇辰師匠の軽やかな歌、そして小せん師匠の甘くゆったりとした大人の歌。あっという間に過ぎていく30分。

途中、体調を崩された方の救護のため、たい平師匠が動いておりました。確かに温度が高く、熱中症になりかねない気候でした。ついつい聞き入ってしまうと、水分補給を忘れがちになるため、来年も気をつけなければなりません。

台風なんて一体なんだったのか、と思うほどの快晴のなか、美しい曲によってライブが終演。今は一人で撮った動画を聴きながら、うっとりとするという楽しみに浸っております。

 

文菊師匠を探す旅

時刻は14時30分を過ぎていました。私は文菊師匠の寄席スケジュールを眺めながら、「そろそろ鈴本の出番を終えて、こちらにいてもおかしくない」と、推理を始めました。驚異的な推理力です。まずは、昨年、目撃情報のあった場所をくまなく探しました。いません。どこにもいません。

だんだんと、山崎まさよしの『One more time, One more chance』の気持ちになって来ました。向かいの境内、湯島天神の影、そんなとこにいるはずもないのに。

そんなことを思いながら、ふらふらと歩いていると、ふいに、文菊師匠を見つけました。

私の脳内を過った一文字をご紹介致しましょう。

 

白!!!!!!!

 

突如として現れた純白。純白の文菊師匠。心拍数が上がり、ドキドキとRomanticが止まらなくなりました。脳内ではCCBの冒頭のイントロが流れ始めました。周囲の人間が見えなくなり、私の視界には文菊師匠の姿だけ。

周りのお客様には毎度おさわがせします』状態となり、板東英二と風呂に入るのはごめんだが、エッチな話は聞きたいという、自分でも何言ってるんだか訳の分からない状態に突入。でも私という板東英二にとっては、文菊師匠は夏木マリみたいなもんなんですよ(喩えが古すぎて誰も分からない)

惰性と交換という漢字を書いただけでも興奮する思春期少年と化した私は、列に並んで文菊師匠を待ちました。今、文菊師匠と書こうとして、思わず『びんぎく』師匠と書きそうになったんですけど、すいません、もう、赦してください。抗えません。

文菊師匠の前では、何もかも無力なんです。

サミュエル・ウルマンだって言ってます。「青春とはある一定の期間を言うのではなく、心の在り方を言うのだ」と。その通りです。私、否、あたいは、文菊師匠を見た途端に、青春に突入してしまう体質なのです。これまで何度も、あたいは、青春に突入させられました。大気圏を越え、ブラックホールを突き抜けて、第三世界のカラスを殺し、あたいは、タイムリープを繰り返して、夏の扉を開け続けてきたんだわいな(混沌を極めている)

盛り盛りのジョークはさておき、文菊師匠と夢のツーショット。魂が半分抜けた表情のツーショット。もう、このまま、棺桶に入ってもいい。由井正雪に騙された願人坊主になっても構わない。いや、坊主は文菊師匠だけど。

そう思いながら、お礼を言ったかどうかすらも忘れ、私は文菊師匠のもとを去りました。これで私も、文菊師匠の右に立った男になりました。文菊師匠も私に右に立たれた男になりました。だから何だって話なんですけどね。。。

放心状態のまま、私は次のイベント、『たい平の部屋』に向かいました。

 

 たい平の部屋での会話を、窓の外から聞く感覚

文菊師匠とのツーショットに魂を抜かれ、ウォーキング・デッドと化した私は、カメラを止め、空気を吸いながら、白目を剥き、たい平師匠の話を聞いていました。

林家木久蔵師匠と江戸家小猫さんが出ましたが、ゾウが出たんだが猫が出たんだか、さっぱり頭に入ってきません。私の脳を脳内メーカーで調べたら、文菊師匠の爽やかな笑顔で埋め尽くされていたことでしょう。まだ震えている手、高鳴っている鼓動。ツーショットを確認する度に失神しそうになる気力。

これは気温の暑さによる『熱中症』ではありません。文菊師匠の爽やかさによる『文菊熱中症』です。ニトリのNクールも敵わない文菊師匠の醸し出すクールさに、全身からは汗が吹き出し、眩暈、動悸、息切れ、発作を起こしていました。

あ、あかん。体が女性になってしまいそうだ・・・

デタッチャブル・ピーニスだ・・・

そんなことを思ったか思わなかったかは秘密ですが、とにかく、ぼんやりしているうちに、たい平の部屋が終わりました。

 

富くじ、当たらず

その後の富くじは、当たりませんでした。むしろ、運を使い果たしたのではないかと思うほど、幸福なことばかりでした。

素敵な芸人さん達の笑顔。そして、食事。そして、物販。全てが、台風を吹き飛ばしていました。心のこもったヨイショに、私の胸も、お腹も、いっぱいだったのです。最後の文菊師匠との出会いで病院送り寸前でしたが、何とか気を確かに持って、家路へと向かうことが出来たのでした。

そして、私は福扇の袋を開けました。そこには、謝楽祭の全てを総括するような、言葉が書かれていたのです。

 

総括 ヨイショの先に

誰が書いたのか判読できないのですが、そこには『人生のような落語、落語のような人生』と書かれてありました。その言葉を見た時に、全てが今日という日を表しているように私は思ったのです。

今日、9月8日。湯島天神に集まったお客様、演者。

皆が落語を愛しています。これは間違いの無いことだと思います。

誰もが、自分の『人生のような落語』に触れたり、『落語のような人生』を歩んでいたりする。今日という日は、そんな人達のために、普段、『人生のような落語』を見せてくれる芸人と、『落語のような人生』を歩んでいるかも知れないお客様との、一年に一度の大切なお祭りだったのではないでしょうか。

きっと、そんな気が私はするのです。

こんなに素敵なお祭りに出会える幸福。そして、きちんとやってくる『言葉』。私は、全てが腑に落ちました。

落語に笑い、落語に心惹かれ、落語が好きで、落語が人生の傍にある人達。その素晴らしさは計り知れません。こんなに素敵な輝きを、私は他に知りません。

今よりももっと、落語が好きになって、寄席が好きになって、日本の演芸が大好きになる。それが、謝楽祭というお祭りにはあります。

今年は、たい平師匠が実行委員長となり、『心をこめてヨイショ!』をテーマに、大勢の芸人さんが、訪れた観客に、心のこもったヨイショを送りました。

では、そんなヨイショを受けた私を含む多くのお客様は何を思うのでしょう。

これは私の一例ですが、きっと、自分を諦めないことだと思うのです。

自分にある才能や可能性や、ありとあらゆる未来に向かって進む自分を、諦めず、見捨てないことが、大切なのではないでしょうか。

笑顔で迎えてくれる芸人さんの姿。一所懸命に楽しませようとしてくれる芸人さんの姿。何時間もサインに応じる姿、汗をかきながら美味しい食べ物を作る姿。

全てが、お客様の心の奥底を持ち上げているような、ヨイショしているような、そんな心意気があって、その心意気によって、持ち上がった自分の心に、自分でもびっくりするくらい、喜んでいる自分がいることを私は認めました。

自分の可能性を潰しちゃ駄目だ。

自分を見捨てちゃ駄目だ。

自分の素晴らしさに気づいて。

謝楽祭には、そんな流れを私は感じました。

決してスピリチュアルな話ではありません。

自分の感情を左右するのも、

自分の可能性を潰すのも、

全ては自分次第なのだけれど、

自分という存在の偉大さを、

気づかせてくれるのは、

笑いという大きな力で、楽しませてくれる、芸人がいるからではないでしょうか。

自分一人じゃどうしようもできない、辛い状況にあるとき、寄席に行くと本当に心を救われる経験が私にはあります。あなたにもありませんか。

寄席の素晴らしさは、そんな静かで温かい日々が毎日続いていることにあると思うのです。そして、その芸に触れて、自分ではどうしようも出来なかった自分を笑い飛ばして、認めて、抱きしめて、肯定してあげるような芸を見せてくれるのが、芸人なのではないでしょうか。

今日は、そんな芸人とお客様が、垣根を越えて交流し、共に笑顔で笑い合い、認め合った一日なのではないでしょうか。

私は、そんな風に思ったのです。

そして私はこれからも、『人生のような落語』を聴き、『落語のような人生』を歩むのかも知れません。と言っても、私は与太郎にはなるべくならないように気を付けておりますが(笑)

でも、いいんです。与太郎になっても。きちんと、正しく、自分を認めようと思うのです。そりゃ、働いていれば心が擦り切れる日もあるけれども、『毎日を笑って過ごす』ということを、私は絶対に諦めません。

事実、私は落語に出会って、毎日、頬骨が筋肉痛になるくらいに笑って過ごしているのです。ちょっとや、そっとじゃ、凹みません。形状記憶合金です。

さて、最後に、あなたはどんなことを、ヨイショの先に思いましたか。出来ることなら、あなたの言葉で纏めて見て欲しいです。

そして、機会があったら、私に聞かせてはくれませんか。

きっとあなたとなら、もっと楽しい落語が聴けそうだと私は思うのです。

たくさんの落語好きが集まった落語会って、それはそれは楽しいのです。

今日は、そんな落語会と同じ雰囲気のお祭りだったのです。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

本当に楽しかったですね。

それでは、素敵な演芸との出会いを祈りながら。

また、どこかの寄席でお会いしましょう。