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自称・演芸ブロガーが語る日本演芸(落語・講談・浪曲)ブログ!

心臓の鼓動(4)~2019年9月16日 渋谷らくご 14時回 隅田川馬石 お富与三郎通し公演~

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 ウワバミよ!

 

時次郎の眼

 

ノーコンプライアンス

 

今日も迫真

なぜ若い女性は派手な食べ物を好むのか

渋谷のセンター街を歩くことにする。毎度、ユーロスペースに行くための『安全通路』を通ることに慣れきっている私は、たまにはごちゃごちゃしたところを通ってみたいと思い立ち、自ら『危険地帯』であるセンター街をふらふらと歩いた。

ポテトモッツァレラハットグ』なる食べ物をムシャムシャと食す若者たちの姿を見つける。タピオカにしろ、ハットグにしろ、なぜあんなブツブツの気持ち悪いものを食すことができるのか、私にはまったくわからない。

タピオカミルクティーやハットグやらは見ただけで鳥肌が立つ。大体、私にとってハットグと言ったら、田原俊彦である。ハッとしてGoodである。

なぜあんな脂っこいものを食べることができるのか、教えて欲しいくらいである。歳のせいか、体を絞っているせいか、キュウリやモヤシなどのサッパリしたものしか食べたくない気持ちが強い。

きっと、渋谷でハットグを食べている人たちの気持ちがわからないように、私が落語を好きであることとか、落語をなぜ好きであるかがわからない人たちもたくさんいるのだろうと思う。何が良くて何が悪いというわけではないけれど、やっぱり私は落語を愛する人愛する人間なのだと思う。

世の中には、落語を知っている人と知らない人がいる。私は少しでも、落語に色んな人が興味を持ってくれたら幸いである。そんな思いでブログを書いている。

一番の落語の醍醐味は、連続物を聞くことにもあるかも知れない。毎度、登場人物がどんな風になっていってしまうのか。ハラハラ、ドキドキ、緊張感のある展開に目が離せない。

隅田川馬石師匠の連続物、『お富与三郎』の通し公演が、多くの人に届くことを願って、それでは、心臓の鼓動の4度目の記録を記して行こう。

 

立川こしら 田能久

とてもアクロバティックな噺家さんだと思う。久しぶりに見て、しかもお初の噺だったため、なんと申し上げて良いか、言葉に窮する。恐らく、田能久というネタを一度どこかで聴いていたら、もっと違う角度から楽しめたと思う。

改めて古典で田能久を聞いた後での感想となるが、こしら師匠の大胆なアレンジが随所に光った田能久だった。オチに向けたスーパーアクロバティックも含めて、どうやらまだ私には語る言葉が無いようである。

 

 柳亭市童 明烏

こしら師匠の後に出ると、物凄いキッチリして見える市童さん。時次郎の眼がめちゃくちゃ可愛いなぁ。と思った。源兵衛と太助が出てきた辺りから、睡魔に襲われてしまった。本当に申し訳ない。なんと失礼なことであろうか。

 

橘家圓太郎 あくび指南

ザ・ノーコンプライアンス

あくび指南の演出は好みが分かれるところである。

何と申し上げて良いか分からない。

 

隅田川馬石 お富与三郎 その四~佐渡の島抜け~

お待ちかねの馬石師匠。正直、馬石師匠のお富与三郎が楽しみすぎて、前半の三人に対して、大変申し訳ないがあまり頭に入って来なかった節がある。

目玉のトミを殺した場を見ていたのは蝙蝠安だった。お富と与三郎は目玉のトミの兄貴分である蝙蝠安に強請られ、たびたび金を持っていかれる。困り果てたお富と与三郎は玄治店の家を売り払い、住まいを移すのだが、そこでも出刃を振り回しての大騒動。

当時の奉行は無宿狩りをやっていて、無宿人を捕まえては佐渡へと流していた。佐渡は金山があるため、そこで捕まえた者たちに労働をさせて資金を集めていた。無宿人である与三郎は捕まり、佐渡へと島流しにあってしまう。

お富と引き離され、たった一人佐渡で働くことになった与三郎。このままでは一生お富に会えないまま、佐渡で暮らさなければならないことを悟った与三郎は、ひとめお富に逢いたいと思うようになる。

やがて与三郎は、坊主の松と鉄の島抜けの作戦を聞くことになる。潮の加減で死体や海のゴミが集まる個所があり、一本の松が生えている場所が目印だと言う。そこに丸太が流れ着いており、その丸太を縄で縛って船にし、島を抜けるという作戦である。

雨の強い夜、与三郎は震えながらも松と鉄についていく。岸壁までやってきて、荒れ狂う波を見つめながら、三人は丸太があることを信じて、鉄、松、与三郎の順に岸壁から飛び降りる。

荒れ狂う海から顔を出した与三郎。鉄と松の名を呼ぶと応答する声がある。何とか三人はゴミが集まる個所に辿り着き、そこで丸太を発見。縄で縛って船を作り荒波の海へと航海に出る。

ついに島を抜け出した三人であったが、途中で大きな波が襲い、鉄が飲み込まれる。松と与三郎は波に飲み込まれた鉄に向かって叫びながら、航海を続ける。

二人は波に飲み込まれ、辿り着いたのは地蔵ヶ原(?)と呼ばれる土地。そこで色の黒い漁師に命を救われ、宿屋に泊まるのだが、厠へ立った与三郎は自分たちの案内された部屋とは別の場所で、自分たちが罪人であることに気づき、捕えようとしている人物の会話を聞き、即座に松に告げ、逃げることを決意する。

二人一辺に捕まっては不味いと、松と与三郎は二手に分かれて宿屋を出る。運悪く松は捕まり命を落とす。悪運が強いのか与三郎は何とか逃げ出すことが出来た。

逃げた与三郎が出会ったのは、火にあたっている乞食。寒さを凌ぐために火にあたらせてもらった与三郎は、乞食に顔に傷があることを知られる。火で暖をとらせてくれたお礼にと、与三郎は傷をつけられた偽りの理由を乞食に話す。話し終えると、乞食の仲間らしき男がやってきて、乞食に金を渡して去っていく。与三郎は男が気になり乞食に尋ねると、「あれは赤間源左衛門の親分で、自分はその一番の子分の松だ」と聞かされる。

驚いた与三郎はその場を離れ、急いで源左衛門のところへ行き、源左衛門を呼び止める。そこで、自らの正体を明かした与三郎。源左衛門も与三郎を見て驚く。

因縁の二人が遂に対面した。一体、この後、どうなってしまうのかは、最終日に分かる。

 

今回も、見どころ満載。緊迫感溢れる場面の連続で、震える。震える。震える。特に、与三郎が佐渡から逃げるために岸壁から飛び降りる場面。そこから丸太を見つけ船を作って島抜けするまでの一連の場面は、物凄い緊迫感である。馬石師匠の情景描写力もさることながら、鉄や松を声のトーンを微妙に変えて表現したり、波に飲み込まれた鉄に向かって放つ言葉など、実際に荒波に飲み込まれているかのような緊張感があって、胸の鼓動が早くなった。

見事、島抜けを果たした松と与三郎。漁師の肌が黒かったことから、ちょっとした小ボケもあったが、その後、松と与三郎が宿屋に泊まる場面も凄い。自分たちが島を抜けてきた罪人であることが、宿屋の者にバレていたと与三郎が気づいてから、宿屋を逃げ出す場面の緊張感。ハラハラしながらも、松が捕まって命を落とす場面には思わず心の中で「ああ~~~!!!」という思いでいっぱいだった(伝わるのか?)

松之丞さんの『慶安太平記』で、由井正雪一派が捕まる場面でも同じようなことを思ったことを思い出した。

さて、運良く逃げた与三郎が乞食と出会う場面。単なる乞食かと思っていたら、なんと与三郎とお富の関係をバラしたミルクイの松だった!!!これはかなり衝撃的で、赤間源左衛門まで現れて、与三郎が源左衛門を呼び止め、遂に三十四個所の身体を傷つけられた恨みを晴らす場面まで、怒涛の展開に痺れた。

 

 うわーーーー!!!!!!!

 一体、

 どうなっちゃうのーーーーー!!!!????

 

と、心の中で絶叫しながらも、結末は最終日である。もうチケットは速攻で買った。絶対に行って、この目で確かめなければ一生後悔するであろう。

この記事を読んでいる読者も、ここまで読んだら、もう、後は、行ってほしい。というか、来てください。渋谷らくごユーロスペース。安全通路でも危険地帯でも、どっちを通って来てもいいから、是非、来てください。で、一緒に語りましょう(嘘)

 

 総括 明日はどっちだ

いやー、とんでもないっす。今回の『お富与三郎』の通し公演。四回目まで見て、もう、なんなのさ。いやさ、なんなのさ!!!!という、もう、なんとも、最後まで見ないと、何とも言えない。

馬石師匠の言う通り、どこを見ても最高潮の盛り上がりを見せる『お富与三郎』

マジで、どんな結末が最後に待っているというのか。

ぐっすり眠れるか分からないけれど、じっくり待ちましょう。

最終日は、昇々さん、太福さん、兼好師匠、そして馬石師匠という最強のラインナップ。

もう、見るしかないよね。