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NHK新人落語大賞を存分に楽しむ~ニーヌさん主催会 2019年11月4日~

 おおー、すごーい

 

カードゲーム『真打』

 

権太楼師匠、こええええ

 

華紋さん、おめでとう!!!!!

  

延期の縁

本来であれば、10月26日に放送されるはずだった『NHK新人落語大賞』。ところが、ラグビーの放送により延期となり、11月4日に放送されることとなった。

縁とは本当に不思議なもので、ニーヌさんが『NHK新人落語大賞』をみんなでライブビューイングする会を企画された。私も、スケジュールが空いており、行くことに決めた。

そして今日。そのライブビューイングが行われた。集まったのは総勢7人。貸スペースで行われた会は、とても、とても、とても楽しかった。どう言葉で表現して良いか分からないが、世の中の落語好きが、同じ時間、同じ場所で、同じ演者に笑ったりして過ごすことが出来たのは、殆ど奇跡だ。

そして、改めて会を企画してくれたニーヌさん、そしてお手伝いのHさん。集まった方々にお礼を申し上げる。素晴らしく楽しい会だった。機会があればまた参加したい。

さて、ではそんな楽しい会のレポをお届けしよう。今回は『NHK新人落語大賞』もさることながら、参加されたゆっとれいさんがお持ちくださった、カードゲーム『真打』についても触れたい。これは落語好きにはマタタビのような代物で、落語好きには堪らないカードゲームになっている。私は結構欲張りだから、もっともっと『真打』のゲーム性の幅が広がれば良いと思うほど、のめり込んだ。カードゲーム『真打』の開発者の方、もしこの記事を読まれておりましたら、一緒に共同開発しませんか(笑)

ではでは。

 

 桂華紋 ふぐ鍋

開口一番は桂文華師匠門下の華紋さん。兄は漫才コンビ『おせつときょうた』のおせつさん。どちらもお笑いの世界に入っている。華紋さんは、以前、紋四郎さんの会で『粗忽長屋』と『打飼盗人』の二席を見た。めちゃくちゃ芯のある良い声と、とても気持ちの良い間が持ち味の噺家さんだと思う。

審査員の方も仰られていた気がするけれど、とにかく『間』が素晴らしい。それは『ふぐ鍋』という演目でも存分に活かされていて、登場人物の考える『間』に、客席で聴いている人々が考える『間』が見事にフィットしている感覚があって、それが良い声と相まって何倍も面白くなっている。

『ふぐ鍋』という演目の簡単な内容は『毒があるかも知れないフグを食べるか否かの駆け引き』を楽しむ話である。

自分で拵えた河豚鍋を、何とかして毒味させようとする男と幇間の駆け引きが面白い。考えてみれば生きるか死ぬかの鍔迫り合いなのだが、シリアスな緊張感が無くて、ひたすら間抜けな空気が流れる。

華紋さんの絶妙の間と、お互いに河豚を先に食べさせようとする登場人物の表情が面白い。覚悟を決めて食した後で、思わぬところに着地するオチも見事だ。

これは、この後の紋四郎さんの会で知ることになったのだが、華紋さんの男気に痺れた。カッコいい。最高である。紋四郎さんのエピソードを聞いただけで、華紋さんが如何に義理に厚く、カッコイイ男であるかが分かる。なんと、1月6日に桂紋四郎さんと桂華紋さんで二人会があるそうだ。

上方落語ブームが来ている。文句なしの一席だった。

 

笑福亭笑利 看板のピン

二番手は笑福亭鶴笑師匠門下の笑利さん。生の高座を見たことは無い。前半の玄人博打人が登場する場面が、江戸に比べると詳細に語られている気がした。

この話の簡単な内容は『看板が役に立つときと、役に立たないときがある』というお話で、前半のフリから後半の回収が鮮やかな一席である。

審査員にベテランの文珍師匠や権太楼師匠がいるなかで、看板のピンを掛ける心意気に拍手を送りたい。権太楼師匠がマイクを握った時のふてぶてしさ、芸の厳しさを諭すような姿が印象に残った。

 

露の紫 あいかぎの変

露の都師匠門下の露の紫さん。都師匠は繁昌亭で『星野屋』を見た。キレのある動きと語り。とにかく女性の描き方が素晴らしい。都師匠譲りの語りのリズムとトーン、そして後半、怒涛の勢いで登場する人物達。一人だけ新作落語だったが、文句なしに面白かった。

特に嫁と姑の関係性や、旦那のだらしなさに憤慨する嫁の姿など、随所に面白い部分があって、ライブビューイングで見ていた会場も沸きに沸いていた。酒も進む進む。ツマミも進む進む。東京にいながら、上方の風、三連続にすっかり心を奪われてしまった。

会場はNHK大阪ホール。そして上方の噺家が三連続である。そのホールにいなくとも、感じられるのは、上方の風で満ち満ちた空気。その全てを作り上げたのは、トップバッターの華紋さんであり、三番手の露の紫さんで完成したのかもしれないと思った。

私はその場にいなかったから分からないけれど、これがもしも上方と江戸の落語家が交互で出演していたら、また会場の雰囲気も違ったのかも知れない。これも紋四郎さんの会で知ったことだが、空気は大きく上方に傾いていたのだった。

 

立川こはる 黄金の大黒

四番手は立川談春師匠門下のこはるさん。登場の順番というのは難しいもので、立て続けに上方の落語家を三人見た後で、残り三人、江戸の噺家が続くとなると、客席で見ている人たちの雰囲気はどう変わっていくのだろうか。と、そんなことを考えた。

寄席に限らず多くの落語会には、目には見えない空気の『流れ』があって、それをどう切り替えていくかを試されたのが、後半の三人だったと思う。

この話の簡単な内容は『黄金の大黒を掘り当てたお家にお祝いに行くのだが』というお話である。

私はまだこはるさんを生で見たことは無いが、流暢な江戸前の雰囲気を存分に発揮した落語をされていた。途中、尿意を催し席を立ったが、気風の良い語りと表情は素晴らしかった。テレビからは伝わって来ないけれど、多分、こはるさんはやりにくかったのではなかろうか。寄席でもなかなか、上方落語家が三人出てきた後で、江戸の落語家が三人続くということは、皆無と言っても良いくらいに無い。会場の雰囲気もどのようであったか分からないのが無念だが、テレビで見る限りは、丁寧で気持ちの良い落語だった。

 

 古今亭志ん吉 親子酒

古今亭志ん橋師匠門下の志ん吉さん。都内の寄席では、住吉踊りをこなしたり、シャキッとした気持ちの良い落語をする噺家さんだ。謝楽祭では圧巻の女装を披露したりと芸達者で、見た目からも気配りが出来そうな雰囲気を感じる。高座姿も美しく、スッと伸びた背と、笑った時に見せる歯の美しさ、ハリのある声と気持ちの良いリズム。兄弟子たちに囲まれながらも、スッとした威勢の良い雰囲気を醸し出す志ん吉さん。

この話の簡単な内容は『親子の破られる約束』というような話である。

それまでの流れを受けてフグを出してみたりなど、志ん吉さんとしても、会場の雰囲気を何かしら感じていたのかも知れない。テレビで見る限り、いつもの寄席でみる志ん吉さんらしい、酔っ払い具合とリズムだった。別段、緊張した様子もなく、酔っ払いの姿は実に素晴らしかった。

奇しくも紫綬褒章を受章された扇遊師匠が良く寄席でも掛けられている演目である。笑顔が素敵な扇遊師匠から教わったどうかは分からないが、ハチャメチャに酔う親子の姿は、実に見事だった。

 

柳亭市弥 湯屋

トリを飾ったのは柳亭市馬師匠門下の市弥さん。演目を見て「紙入れじゃないんだ・・・」と私は驚いた。確か『NEXT名人寄席』で聴いたのだが、最後のオチを捻っていた市弥さん。思わず「ひえええっ」と声が上がってしまうほどの工夫に驚いた。今回は湯屋番である。

この話の簡単な内容は『若旦那が慣れないお湯屋の番頭を務める』というお話である。

寄席でも割と掛かるネタである。市弥さんの若旦那感がピタリとハマっている感があって、素晴らしい一席だった。

一体、これをどう権太楼師匠が評価するのか、そればっかりが気になって仕方が無かった。落語協会の重鎮の言葉は、実に素晴らしい評価だった。たとえ優勝できなくても、権太楼師匠にあんな素敵な言葉を言ってもらえたら、嬉しくて堪らないだろうと思う。実に見事な湯屋番だった。

 

 優勝者決め

一通りの演者を見終えて、私は『華紋さんか、志ん吉さん』のどちらかで迷った。華紋さんは実に見事な間だった。志ん吉さんは圧巻の酔いっぷりが面白かった。さて、結果はどうなるやら。権太楼師匠はどんな点数を付けるやら、と見ていたら、なんと!華紋さんの優勝!!!

 

華紋さん!!!

  おめでとうございます!

 

盛り上がったNHK新人落語大賞。自分が見たことのある噺家で、凄いと思っていた噺家さんが優勝したのは嬉しい。また、紋四郎さんとの二人会で絶対に見ようと思う。今からそれが楽しみでならない。

そして、NHK新人落語大賞を終え、満を持して『落語好きにとってのマタタビ』となる究極のカードゲーム『真打』が披露された。

これが、もうね、凄い、面白いのよ。

落語好きとやるとね、

面白さが、

面白さが、

 

 

 面白さが!!!!

 凄い!!!!(語彙力)

 

思わず語彙力を失ってしまうほどの面白さだった。

詳細はこちら

 

こんな悪魔のゲームがあって良いのか!???と思うほど盛り上がった。

詳しいルールはすっかり忘れてしまったが、カードゲームを持ってきて頂いた『ゆっとれい』さんのおかげで、非常に分かりやすくゲームを行うことができた。

これ、四人で対戦するゲームなんですが、落語好きが入ればいるほど盛り上がるゲームです。

簡単なルールは、季節と四大寄席(上野・鈴本・浅草・池袋)があり、それぞれのターンで、何の演目をやるかというゲーム(超ざっくり

プレイヤーは噺家になった気持ちで、どんな演目を高座で掛けるか選ばなければならない。その駆け引きが面白い。

ざっくり『死神』や『百年目』や『芝浜』や『時蕎麦』などがあって、「時蕎麦と言えば小さん師匠だよねー」とか「死神と言えば圓生師匠」みたいに、かなりざっくりした説明になってしまうが、めちゃくちゃ盛り上がれるのである。

これ、寄席で売ったらバカ売れするんじゃないだろうか。そう思うほど、面白かった。

だが、私は欲張りなので、冒頭にも書いたが、このカードゲームの発案者と共同開発したいと思っている。もっとネタ数を増やしたり、新作落語や講談、落語協会落語芸術協会との分け方など、現実に即してカードゲームが多様化すれば、落語好きにはたまらないカードゲームになると思う。

まさか、こんな素晴らしいカードゲームが世の中に存在しているとは思わなかった。全部で三回ゲームを行ったのだが、尽きることの無い面白さがあった。

是非、また、誰か落語好きを集めてやる会に参加したい。全国の落語好きが夢中になるカードゲーム『真打』。いやー、こんな新しい発見があったなんて、感動ものである。

 

最後は小三治師匠の『青菜』を聞き、古今亭志ん朝師匠の『そろばん節』を聞いてお開き。本当に素晴らしい会でした。

 

 総括 我逢人

喬太郎師匠に影響を受けたのか、私も色々な人に会い始めている。落語が好きな人は、皆さんとても優しくて、本当にびっくりするくらい、楽しい人達ばかりで驚いている。私は殆ど一人で情報収集をしたり、記事を書いたりすることで、あくまでも主観で記事を書いてきたが、色んな人の落語愛を聞くと、それだけでゾクゾクするような興奮が沸き起こってくる。

ああ、人生はなんと素晴らしきかな。

最高の三連休の締め括り。と言っても、まだまだ年末に向けて楽しいことは盛りだくさん!!!!

遊ぶために仕事して、仕事するために遊ぶ。

素敵な出会いに感謝して、この記事を終わる。

改めて、ニーヌさん、Hさん、ゆっとれいさん、mariさん、水月さん、与太郎さん。

本当に、

本当に、

 

 ありがとうございました!!!