落語・講談・浪曲 日本演芸なんでもござれ

自称・演芸ブロガーが語る日本演芸(落語・講談・浪曲)ブログ!

Youtubeに上がってるサスペンダーズのネタ動画が面白いので全部レビューしてみた

 2014年10月12日『フォークソング部』 https://www.youtube.com/watch?v=5CNoXQn7-go&t=59s

フォークソング部に入部した新人の古川さんと、フォークソング部に所属する依藤さんとのやり取りが行われるネタ。フォークソング部に入部した古川さんが、ことごとくフォークソングのジャンルとはかけ離れた音楽を嗜好していることが明かされ、正反対ともいえるジャンルの違いが面白いネタだ。体を張ったネタでもあり、「一体なぜ、古川さんはフォークソング部に入部したんだ!?」という疑問が生まれるものの、フォークソングという概念すら上塗りしかねない、徹底したデスメタル嗜好が面白い。 背中に書かれたグラフの場面は、古川さんの狂人っぷりが発揮されている。一体、どれだけの過去が彼にあったのか、未知なる恐ろしさを感じさせるクスグリも多い。 古川さんの狂人っぷりもさることながら、依藤さんのツッコミも面白い。特に「お前、15歳だよな!」と言った後のツッコミには、それまでの話の流れからは想像も付かない独自のワードセンスが光っている。 現在のコントのスタイルを知っているからかもしれないが、初期サスペンダーズのネタは、古川さんの演じる狂人と、それに鋭くツッコミを入れる依藤さんのスタイルで構成されたネタが多い印象である。素人意見で恐縮だが、頭で考えているネタが多い。頭で考えているが故に、作為性が見えると言えば良いのか。設定よりもむしろ、一つの奇妙さが生み出す波に乗って、ワードを積み重ねて構築されている印象がある。その着眼点と突き抜け具合が面白い。まだ原石の狂気が垣間見れる素晴らしいネタだ。  

 

   

2014年11月11日『スクープ部』 https://www.youtube.com/watch?v=8cOUYFPZ0uE&t=67s

いかにも大スクープを掴んだと言わんばかりの態度で、依藤さんに迫る古川さん。一体どんなスクープかと思いきや、まさかの結果に。続く様々なスクープも、驚愕のスクープが出てくるかと思いきや。。。というようなネタである。 ここでも、先に記載した『フォークソング部』同様、古川さん演じるキャラクターの狂人っぷりが発揮される。一体、どんな生い立ちをすれば、こんな性格になるのだろうかと不思議に思うほど、自信に満ち溢れているがズレているスクープ記者。呆れながらも鋭いツッコミを入れる依藤さんの姿が面白い。 どれだけツッコまれようとも、意に介さずな古川さんのキャラクターも特徴的である。何一つとして、自分の勘違いっぷりを認めないぶっ飛んだキャラクターが放つ狂気が、このネタでも光っている。先にも記述したように、一つの奇妙さが生み出す波に乗って、ワードを積み重ねて構築されている印象がある。後半、なぜかラッパーになるところには、考えあぐねた末に、捻りだされた苦悩が感じられる。一つの奇妙さからネタが展開されているが故に、着地点を決めかねている印象がある。前作と合わせて、サスペンダーズがネタを作りながら、模索している印象を受けた。  

2014年12月11日『ペットショップ』 https://www.youtube.com/watch?v=KiPMyFG65vY

ペットショップ店員の狂気っぷりが光るネタである。ペットショップ店員である古川さんの演じるキャラクターには、ペットショップで働くことによって、自らの歪んだ信念を肯定していくかのような狂気がある。特に、ペットショップを訪れた依藤さんに対して説明される言葉は、どれもネガティブ・キャンペーンというよりも、むしろ通常の人間とは別次元で思考した者の狂気さが溢れていて、それが生み出す怖さが面白い。徹底して動物に対するネガティブな発言をしながら、さもそれが真っ当なことであるとでも言わんばかりの店員の態度が面白い。ここまで振り切れた人に付き合いながらも、冷静にツッコミを入れる依藤さんも面白い。特に、ペットショップにおよそ似つかわしくない貝類を挿入することによって、犬やインコや猫とは異なる、長寿命である生物の優位性を説くかのような店員の姿が面白い。僕はあまりペットショップに行ったことは無いが、ペットショップにいる店員さんは皆、動物が好きなのだろうと思っている。その思いを逆手に取って、ペットショップ店員でも、動物が嫌いな人もいるという、逆説的なネタになっている。テリーさんへの依藤さんのツッコミも面白かった。 こちらも、前二作と同じ流れにあるように思う。  

2015年1月12日『合コン』 https://www.youtube.com/watch?v=EDb7atAtcOk&t=64s

極限まで振り切れた狂人っぷりが後半で一気に爆発する凄いコントである。前三作の流れから、この時のサスペンダーズが辿り着いた一つの結晶のようなネタに思える。 とてもだらしない恰好を惜しげもなく披露する古川さんと、それに戸惑いつつ、古川さんの狂った勢いに圧倒される依藤さん。どれだけ冷静にツッコミを入れようとも、古川さんの徹底した狂いっぷりは止まることが無い。一体、なぜこれほどまでに自信を持って発言することができるのか不思議に思うほど、古川さん演じるキャラクターは突き抜けて狂っている。 ここで初めて、サスペンダーズは明確に『女性と対峙する男性』という設定をネタに取り込んでいる。女性と合コンする前の男の様子から、実際に女性と対峙した場面まで、一つの道筋が出来上がっている。明確な目標が生まれたことによって、それまで落としどころを決めかねているように思えたサスペンダーズのネタが、ようやく一つの着地点を見つけたのではないか、と思うようなコントだった。 何と言っても、女性が合コンに現れてから、最後の絶叫までの流れが最高である。古川さんの演じるキャラクターの狂気が生み出す爆発力が爽快なネタだ。  

2015年2月11日『囚人』 https://www.youtube.com/watch?v=Xi2futAYkcY&t=38s

どちらも囚人であるという設定で展開されるネタである。古川さん演じるキャラクターの狂気がここでも光っている。後半は、少し下品な展開であり、客席からは悲鳴も上がっている。考えあぐねて生まれたネタのように思う。『合コン』で見せた爆発力は無いが、古川さんの狂人っぷりに下品さが加わっている。見る者を選ぶコントである。  

2015年3月12日『BAR』 https://www.youtube.com/watch?v=Z-WR0UypamY

古川さん演じるバーテンダーと、バーに訪れた依藤さんのコント。ワードの面白さを積み重ねてきたサスペンダーズらしいネタである。ここでも、バーテンダーの奇妙さが際立っている。品のあるバーで展開される会話は、女性との別れという普通の内容である。ところが、それに対するバーテンダーの助言が奇天烈で面白い。ある意味では真っ当なのかも知れないが、なかなか受け入れがたい。バーテンダーの奇妙さがオチに繋がって行く面白いネタだ。  

2015年5月12日『手料理』 https://www.youtube.com/watch?v=idM2BfKpk9g

『睾丸の料理にズバ抜けた才能を持つ男』が登場する傑作のコントである。古川さん演じるイカれた料理を作る男と、その料理にことごとくツッコミを入れる依藤さんの姿が最高に面白いネタだ。 前半から後半に至るまで、『睾丸』を軸に様々な面白さが足されている。『合コン』に明確な目標があったとするならば、『手料理』には明確な設定がある。コントの設定を突き詰めて、そこから考えられるワードを次々と生み出していったように感じるネタであり、古川さんの突き抜けっぷりもさることながら、依藤さんのキレッキレのツッコミも面白い。それまでの作品群の流れをさらに推し進め、ギリギリの下品さと、緻密な面白ワードが差し挟まれることによって、徹頭徹尾面白いネタになっている。特に、後半は見事に一段階面白さがあって、それも最高である。 それまでの着眼点の良さを活かし、突き詰めて加速させた素晴らしいネタだ。  

2015年7月12日『お土産』 https://www.youtube.com/watch?v=Gu87y8wBYrY&t=52s

奇妙なお土産を持ってくる古川さんと、そのお土産に苦悶の表情を浮かべる依藤さんのコント。前作『手料理』の流れもあって、小道具の奇妙さにスポットライトが当たったネタである。お土産のディティールの細かさもさることながら、古川さんの奇妙さが際立つネタである。  

2015年8月12日『公園』 https://www.youtube.com/watch?v=gYNLuKewEJo&t=27s

古川さん演じるとても口の悪いおばあちゃんと、依藤さん演じるフリーターでバンドマンの男の会話で始まるコント。古川さん演じるおばあちゃんの巧妙な罠に嵌められたフリーターの依藤さんのツッコミが面白い。これまでのコントでは、古川さんの奇妙さが突き抜けており、どちらかと言えば依藤さんのツッコミは抑えられていた方だった。バランスからすれば、依藤さんのツッコミの割合はそれまで多くはなかった。ところが、『公園』では依藤さんのツッコミがメインになっているように感じられる。大振りだが勢いのあるハードパンチャーのようなツッコミが面白い。静かなサイコパスであるおばあちゃんに、殴りかかるかの如くツッコミを畳み掛ける依藤さんが、後半で怒りと状況説明をスイッチングする場面も面白い。依藤さんのツッコミが光るネタで、オチもおばあちゃんの底知れない強さが感じられて面白い。  

 2015年9月12日『お巡りさん』 https://www.youtube.com/watch?v=LotesF2jpbE&t=150s

童貞の老人と警察官のコント。米寿になっても童貞である古川さん演じる老人の姿が振り切れていて面白い。悲壮感の極致とも言うべき状況設定の中で、暴走する老人と、それを叩き潰す警察官の会話が面白い。老いても性欲の衰えない老人が巻き起こす波乱と、どこまでも冷たいツッコミを放つ警察官の姿がとても面白い。 『合コン』で見せたパンツ一丁キャラクターの変化版とも言うべきか、『女性』が対象となるコントで抜群の面白さを発揮するサスペンダーズ。ここでは、『合コン』のように老人が実際に女性に会うことはない。だからこそ、行き場の無い性欲をどうにかしたいという老人の暴走でフェードアウトしていく。ひょっとしたら、実際にこんなことが起こっているのではないかと思えるほど、リアリティがあって面白い。  

2015年11月12日『甥っ子』 https://www.youtube.com/watch?v=YBBdsbaS6gs

性格があらぬ方向へつ歪みきってしまった甥っ子と、その中学生の様子にツッコミを入れるおじさんのコント。古川さん演じるぶっ飛んだ中学生の奇妙さと、その奇妙さに戸惑う依藤さんの姿が面白い。ぼんやりとだが、『公園』からサスペンダーズは『リアリティ』をコントに付加しているように思う。『フォークソング部』~『お土産』までの古川さんのキャラクターは、どちらかと言えば非現実的なぶっ飛びキャラであり、唯一、依藤さんのキャラがリアリティを持っていた。『公園』以降、依藤さんのツッコミ比率が上がると同時に、コントの登場人物にリアリティが増し、より古川さんの奇妙さと、依藤さんの鋭いツッコミの対比が際立っているように思える。特別な舞台設定では無いからこそ、登場人物の個性に比重を置くスタイルに、キャラの説得力が増したことによって、格段に面白くなっている。 実際、古川さんの演じる甥っ子は、世の中にいてもおかしくない存在である。さすがに鞄に卑猥な本を詰め込んでいるかまでは分からないが、男ならだれもが一度は足を踏み入れたであろうクレイジー・ワールドを嬉々として語る甥っ子。甥っ子という立ち位置だからこそ、気がつかなかった変わりように驚くおじさんの姿。 また一つ、サスペンダーズの変化が感じられる面白いネタだ。  

2015年12月14日『持ち物検査』 https://www.youtube.com/watch?v=htzqXeTx1lI&t=60s

古川さん演じるお坊ちゃまくんのようなキャラと、依藤さん演じる持ち物検査をする体育教師のコント。連作物の漫画の一話を切り取ったようなネタで、古川さんの演じるキャラクターの奇妙さが際立っている。前作『甥っ子』から、キャラの奇妙さ、小道具の奇妙さを推し進めたように感じられるネタで、依藤さんのツッコミは控え目になっている。『甥っ子』と『お土産』を組み合わせたようなネタではあるが、『甥っ子』で見せた一点集中のエロさよりも、呪いに焦点当たっている。後半の着地点まで、サスペンダーズの試行錯誤が垣間見れるネタだ。たった数分間の中でも、サスペンダーズがどこに面白さの力点を置こうとしているのかを知ることができる。『公園』から『甥っ子』までの間で、奇妙なキャラの古川さんと、ツッコミを入れる常識人の依藤さんとのバランス感覚を養っている期間であるように思う。  

2016年1月12日『空き巣』 https://www.youtube.com/watch?v=wevO3yOzcWU&t=12s

依藤さん演じる空き巣に入られた男と、古川さん演じる沖縄の方言がある警察官のコント。先ほどの『持ち物検査』同様に、古川さんのキャラクターが漫画チックで、漫画の一話を見ているようなネタである。奇妙な警察官の頓珍漢な推理と、キレ気味に警察官に突っ込む男の対比が面白い。『公園』で見せた依藤さんのツッコミの切れ味と、『甥っ子』で見せた古川さんの奇妙なキャラとの関係に連なるネタで、それまでのネタの流れを見ると、出来るべくして出来上がっているネタであると感じる。『お巡りさん』では依藤さんが警察官の役だったが、ここでは古川さんが警察官を演じ、さらにボケているという設定になっている。何度も繰り返せないネタなのではないかと思うような小道具もありつつ、口癖のような「なんくるないさー」も緊張感が無くて面白い。 後半に向かって盛り上がって行くスピード感は無いものの、サスペンダーズがキャラと設定、そしてボケとツッコミの比率を調整しているような、試行錯誤が垣間見れる作品である。舞台で披露し、お客さんの反応を見て、サスペンダーズは確かめようとしているのかも知れない。  

2016年2月19日『寿司屋』 https://www.youtube.com/watch?v=zsi_zUsCxcw&t=49s

古川さん演じる寿司屋の店主と、依藤さん演じる客のコント。寿司屋とは思えないほど汚い店主が、やたらと『金玉』を押してくる部分が面白い。『手料理』で掴んだ『睾丸一点集中』から派生し、客席ではツボに入ったおじさんの笑い声が力強い。下ネタ系に走りつつ、後半では意外と穏やかに物語が進む。寿司屋を舞台にしたコントと言えば、サンドウィッチマンのネタが真っ先に浮かぶが、サスペンダーズの場合は『睾丸一点集中』からの『ミシュラン』へと繋がって行く。意外と店主の言葉をすんなりと受け入れる客の依藤さんと、ひたすらに下品さと独自の考えで押す古川さんの対比が面白いネタだ。  

2016年3月13日『保護者面談』 https://www.youtube.com/watch?v=2lOfRFcIFVo

古川さん演じる変態教師と、保護者面談をすることになった依藤さん演じる父親のコント。古川さん演じる教師の変態っぷりが序盤から炸裂し、全体を通して変態を加速させている。保護者の依藤さんもキレてはいるのだが、意外と話を聞いてあげるというスタンスが面白い。一歩も引かない変態キャラの古川さんと、それにキレつつもツッコミをする依藤さんのスタイルが確立されている。  

2016年8月14日『保健室』 https://www.youtube.com/watch?v=yD8vGW00D2Q

古川さん演じる保健室の先生と、依藤さん演じる生徒のコント。どこまでも突き抜けた保健室の先生を演じる古川さんの姿に狂気を感じつつも、キレながらツッコミ続ける依藤さんの姿も面白い。治療に絡めた様々な小道具もさることながら、『東洋医学』という言葉がもたらす謎の説得力。保健室の先生の狂気を感じさせる面白いコントだ。しっかりと下ネタも絡めつつ、西洋医学に対する嫌悪を爆発させる場面が最高である。依藤さんのツッコミも冴えわたる面白いネタだ。  

2016年9月16日『生徒の趣味』 https://www.youtube.com/watch?v=wcC5GdX5zLc&t=35s

古川さん演じる女装癖のある学級委員長と、依藤さん演じる先生のコント。真面目だった生徒が、いきなり女装癖があることを暴露し、女装癖に対する理論武装まで完璧であるということの面白さと、女装をしつつも学校のことは真面目に取り組むという姿勢があるのも面白い。ここでは、奇妙さというよりも、女装を論理的に説明しているが故に、真っ当であるように感じられる部分があって面白い。依藤さん演じる先生も戸惑いながらツッコミを入れつつ、古川さん演じる女装した生徒の勢いに押されていく。 古川さんの女装だけでも面白いネタだ。 『保護者面談』から『生徒の趣味』まで、学園モノのコントが三作連なっている。『フォークソング部』から、殆ど学園系のネタはアップされていなかったが、ここに来て三作も増えている。初期サスペンダーズのネタには、古川さんの狂気を持ったキャラと、依藤さんの真っ当な常識を持ったキャラの対比が多く見られる。徐々に、古川さんの狂気キャラにリアリティが増している感じがして面白い。  

 2016年10月16日『募金』 https://www.youtube.com/watch?v=Jfjc3N81uNc

他人の庭で募金をする古川さんと、庭で募金活動される依藤さんのコント。 強烈な理論を武器に依藤さんの庭で募金活動する古川さんの狂いっぷりと、鋭い伊藤さんのツッコミが面白い。一聴すれば真面目に聞こえる古川さんの募金理論だが、チラチラと垣間見せる狂気が絶妙に笑いを誘っている。結局、古川さんの勢いに押されて募金してしまう依藤さんの勝ち組っぷりも面白い。  

 2016年11月15日 『迷子』 https://www.youtube.com/watch?v=XCnP6HNcQfw

善意から迷子の古川さんを助ける依藤さん。そんな依藤さんが厄介ごとに巻き込まれるコント。依藤さんが放つ普通の言葉に対して、ことごとく飛躍した理論に結び付けて発狂する古川さんの姿が面白い。どこまでも狂い咲く古川さんの見事なワードセンスと、切れ味鋭い依藤さんのツッコミが冴え渡る快作。  

2017年2月1日 『先生の謝罪』 https://www.youtube.com/watch?v=KKqjtflRpjw

冒頭は単なる謝罪の一場面かと思いきや、謝罪を要求する依藤さんに対して、謝罪する側の先生である古川さんのパワーワードが炸裂するコント。理論を飛躍させ、徹底的に自分以外に責任をなすりつける古川先生の姿が面白い。畳み掛けられるパワーワードが放たれるたびに笑ってしまう。ひょっとすると、コロナ禍の中でこのコントに登場するような先生が現れてしまうかも知れない。いやいや、今もう既に、あなたもこのコントに出てくる古川先生のパワーワードを放っているかも知れない。 意外に社会的で、先進的な言葉が軸になっている可能性に満ちた爆笑必死のコントだ。  

 2017年2月10日 『僕を入れてください』 https://www.youtube.com/watch?v=5Ixm7LC3FaE

後にも先にも「〇ー〇〇〇〇ーの殺し方じゃねぇか」という歴史的なツッコミが放たれるコント。この一言のためにあると言っても過言ではないコント。  

 2017年3月26日『神社』 https://www.youtube.com/watch?v=pzLRKbRcVtc

古川さん演じるやべぇ神主と、絡まれた依藤さんのコント。神主のトンデモ理論に切れながらも、押し負ける依藤さん。後半で自分の欲望をぶちまける神主さんの必死さが面白い。  

 2017年5月26日『雑誌記者』 https://www.youtube.com/watch?v=NX4D-PmV7Zw

スクープ記者の古川さんと編集長の依藤さんのコント。冒頭は普通の会話劇かと思いきや、ある雑誌の登場から急転直下で爆笑ネタが繰り出される。 雑誌の雰囲気と、スクープ体質な古川さんのミスマッチ感が面白い。  

 2017年6月29日『いじめ』 https://www.youtube.com/watch?v=bYNVnPz2Fkk

いじめを逆手に取る古川さんと、そんな古川さんに戸惑う依藤さんのコント。 いじめられることをスキルアップと答える古川さんのメンタルが面白い。 いじめをテーマに謎理論を展開し、ダークサイドへと落ちて行く古川さんの企みが後半に向かって加速していく様子が面白い。  

2017年7月29日『出待ち』 https://www.youtube.com/watch?v=Ue5MQi7CGfA

変わった趣味を持つ古川さんと、そんな趣味を持つ人間に絡まれる依藤さんのコント。まかり間違えば、古川さんのような人間になってしまっていたかも知れない。今や宇佐美りんさんの『推し、燃ゆ』が芥川賞を取っているが、ここにも、一人の推しに対して強烈に熱狂する古川さんの狂気がある。時代を先取りした着眼点の光るコント。 後々、もっと注目されるかも知れないセンスあるコントだ。  

2017年8月31日『寄付』 https://www.youtube.com/watch?v=834mY-0XJRM

真人間の依藤さんに対して、捻くれまくった古川さんの姿が面白い。ありそうでなかった設定のコント。ボランティア団体から苦情が来るかも知れないが、ある意味で裏面を見事に切り取ったコントと言えるかも知れない。表面上は嬉しさを見せ、それが当たり前かのように思われるが、このコントでは徹底的に善意に対して反抗する。このパンクな面白さが、コントという世界だからこそ輝くのだろう。後半、依藤さんの絶叫がめちゃくちゃ面白い。  

2017年11月27日『おじいちゃんの家』 https://www.youtube.com/watch?v=0g_CjrEjgXo

孫とおじいちゃんの作り上げられた理想の関係性を見事にぶち壊すコント。とある趣味に強烈に熱中するおじいちゃん(古川さん)と、おじいちゃんと遊びたい孫(依藤さん)の対比が、一筋縄ではいかない関係を構築している。 強い理論で徹底的に孫の思いを切り捨てるおじいちゃんの姿が爽快なコントだ。  

2017年12月29日『転校生』 https://www.youtube.com/watch?v=okOUslsgaIc

このコントの冒頭に放たれる「もーちゃん」という言葉、そして、次の「ハカセ」という言葉で、僕の世代なら間違いなく『ズッコケ三人組』を連想するだろう。「もーちゃん」、「ハカセ」と来たら、次は「ハチベエ」しかない。僕も小学生の頃、『ズッコケ三人組』にハマって、自分をハチベエと呼ばせ、太っている友達をもーちゃんと呼び、頭のいい眼鏡の友人を博士と呼んでいた。懐かしい記憶の蘇るコントだ。 だが、『ズッコケ三人組』を知らない人は何のことか分からないかも知れない。 このコントには、共感する部分が多い。小学生の頃、僕にとって理想の小学校生活は『ズッコケ三人組』だった。雷が来たら車に逃げ込んだり、トイレで読書したり、そういう一つ一つの出来事が、当時の僕にとっては理想だった。 だから、このコントでハチベエになろうとする古川さんの姿はそのまんま僕自身である。なるほど、僕がサスペンダーズを好きになったのは、こういうところにあるのかも知れない。自分と似たようなルーツにシンパシーを感じたのだろう。 もし、幼い頃に『ズッコケ三人組』にハマったことのある人なら、きっと爆笑間違いなしの、素晴らしいコントだ。  

2018年2月28日『跡取り』 https://www.youtube.com/watch?v=KUHghtcUNEQ

とある館の主人である古川さんと、その跡取りにさせられそうになる依藤さんのコント。ちょっと卑猥なので、ノーコメントで。  

2018年3月24日『虚無僧』 https://www.youtube.com/watch?v=JXZksSNNWqE

虚無僧の古川さんと、虚無僧に絡まれる依藤さんのコント。依藤さんの切れ味鋭いコントがキレッキレで、依藤さんのツッコミ特集とも呼ぶべきパワーワードが炸裂する。虚無僧の見た目もさることながら、徹底的にハードパンチャーな依藤さんの魅力が光るコントだ。  

2018年4月1日『料理長』 https://www.youtube.com/watch?v=G_9mIYVWGLg

『虚無僧』のコント辺りから、依藤さんのツッコミにウエイトが乗っているように感じられる。狂った古川さんのキャラクター設定はそのままに、ボケを受けた依藤さんが返すツッコミのパワーと切れ味が凄い。ナチュラル・クレイジー・キラーな依藤さんの真っ当さが火を噴き始めたのかも知れないと感じさせるコントだ。  

2018年4月1日『亡き友人』 https://www.youtube.com/watch?v=XgKVWPeV4Yw

狂ったパワーを爆発させる古川さんと、そんな狂人のパワーを物ともせずにバッサリと斬る依藤さんのコント。互いに一歩も引かない光景は今となっては珍しいように思えるレアなコント。パワーバランスが五分五分の関係性の中で、ボケとツッコミがバチバチにぶつかり合う様子は、まるで白熱したボクシングの試合のようだ。それでも、徹底的に切り捨てる依藤さんに軍配があがる。依藤さんの片鱗が徐々に現れ始めた成長性の見えるコントだ。  

2018年5月6日『おじいちゃん』 https://www.youtube.com/watch?v=9LsifuEocd4

『おじいちゃんの家』で見せた関係性の数年後の話だろうか。酷いトラウマに悩まされるおじいちゃん(古川さん)と、そんなおじいちゃんに振り回される孫(依藤さん)のコント。とある番組を徹底的に批判するおじいちゃんの様子が最高に面白い。依藤さんのツッコミはなりを潜め、徹底的におじいちゃんの狂人っぷりが爆発する。 とある番組を知らなかったら何のことか分からないかもしれないが、もはや知らない人はいないほどの番組なので、安心して笑えるだろう。  

2018年7月18日『放課後』 https://www.youtube.com/watch?v=G6GUfuTlY4s

凄い変態な古川さんと、そんな変態に絡まれる依藤さんのコント。 古川さんの狂人っぷりは相変わらずで、前作『おじいちゃん』同様に、徹底して狂っている古川さんの様子が面白い。そんな古川さんに堪らず絶叫する依藤さんのツッコミも面白い。古川さんの欲望全開な聞く人を選ぶコントだ。  

2018年9月25日『バスケ部顧問』 https://www.youtube.com/watch?v=XPKkcEGPS4w

古川さんの変態性が推し進められたコント。とある映画をきっかけに、凄まじい方向に進んでいく古川先生と、そんな先生に振り回される依藤さんの様子が面白い。 前作でコツを掴んだのか、下ネタに振り切れたサスペンダーズのコント。僕は大好きなのだが、聞く人を選ぶコントだろう。男子が夜中にこっそり聞いて大爆笑するようなコントだ。  

2018年10月5日『校長の挨拶』 https://www.youtube.com/watch?v=ETH6VzNYFTU

知っている人なら知っている『すべらない話』を自らのネタとして披露する校長先生(古川さん)と、それに気づく依藤さんのコント。校長の苦悩が垣間見える。冒頭の爆発力が凄いコント。  

2018年12月15日『サークルの勧誘』 https://www.youtube.com/watch?v=z1CttUgU4M8

サークルに勧誘する依藤さんと、狂人古川さんが出会うコント。不潔なキャラクターが持論を展開し、それに振り回される依藤さんの姿が面白い。  

2018年12月26日『喫煙』 https://www.youtube.com/watch?v=05pWmpghHGc

サスペンダーズのコントの中では珍しい、youtubeを見る限りでは唯一?と言ってもおかしくないほど、小道具が光るコント。小道具の奇妙さにただただ笑ってしまう不思議なコントだ。この小道具が一体何なのか、最後まで明かされないところが最高に面白い。  

2019年2月15日『前澤社長 新企画』 https://www.youtube.com/watch?v=KqiHmKDyrYc

今やTwitterで『お金配りおじさん』として認知された前澤社長に焦点を当てたコント。なぜ前澤社長なのかという着眼点もさることながら、人間らしい前澤社長を切り取った面白いコントだ。特に後半の「月に行く」という話題も「剛力彩芽の件」も、そういえばそうだったな~と思わされるメモリアルなコントだ。今やフォロワー全員にお金を配ると言い出した前澤社長。一体このムーブメントはどこへ行ってしまうのだろうか。  

2019年3月12日『女子だけの特別授業』 https://www.youtube.com/watch?v=jf_gZ__PvBs

ついにサスペンダーズの真価が発揮された記念すべきコント。ここから、とんでもないスピードで進化するサスペンダーズの凄まじさたるや筆舌に尽くしがたい。古川さんのキャラクターと依藤さんのキャラクターが絶妙に混ざり合い、唯一無二とも呼べるサスペンダーズ節の、最初の一歩であるコントだ。 2019年になってから、一体何があってこのスタイルを獲得したのか。この1ヶ月の間に、サスペンダーズに何が起こったのか。とても気になる。 それほどに、このコントは強烈に面白い。何より、古川さんの気持ち悪さがとてつもなくコントの中で効果を発揮しているし、依藤さんの真人間っぷりもブレない。 それまでのコントから、どんなきっかけがあれば、これほどに面白いコントが生み出せるのだろうか。 2019年以降のサスペンダーズのコントは、凄まじい勢いで面白さを増していく。少なくとも、僕はそう思った。  

2019年4月14日『サークルクラッシャーhttps://www.youtube.com/watch?v=6-RRQhemGV4

イケイケの依藤さんと、めちゃくちゃモテない古川さんとのコント。 これがもう、死ぬほど笑える。 古川さんのやるせなさが爆発し、怒り狂う場面は最高である。 コントの設定もさることながら、依藤さんのイケイケっぷりと、古川さんのどうしようもなく行き場の無い怒りのツッコミが爆発している。 どうしてこんな面白いコントを急に生み出せるようになったのか。 それまでは、狂人古川と真人間依藤という設定が多かった中で、ここに来て、どうしようもない劣等感の塊である古川さんと、そんなことを一切考えない勝ち組依藤さんの構図が絶妙に笑いを生み出している。もはや十八番とも言える二人の関係性を、サスペンダーズはこのとき、どう考えていたのだろうか。このスタイルを得るまでに、3年近くが経っている。3年の時を経て、爆笑のスタイルを生み出したサスペンダーズに、僕はただただ笑うしかない。こんなに面白い設定を生み出し、独自のやるせなく、行き場がなく、どうしようもない気持ちを吐き出すツッコミを生み出した二人の奇跡のようなコント。  

2019年5月14日『復讐のバーベキュー』 https://www.youtube.com/watch?v=iCqbXgkIt44

もはや向かうところ敵なしのサスペンダーズのコント。狂人古川の狂人っぷりに、劣等感が加わり、怒りをぶちまけて困惑する古川さんの放つ言葉の面白さが、とんでもなく進化している。まるで答え合わせかのように、古川さんの哀しみの絶叫ツッコミが笑わずにはいられない。こんなに面白い古川さんの姿と、依藤さんのツッコミに笑わない方が無理である。これをどう表現したらいいのか分からない。この面白さにふさわしい言葉が分からない。 とにかく面白いのである。2019年から桁違いに観客の爆笑度合いが増している。一体、サスペンダーズに何が起こったのか。  

2019年6月13日『修学旅行班決め』 https://www.youtube.com/watch?v=UTqkLodRHro

水を得た魚のように、縦横無尽に怒りのツッコミを爆発させる古川さんと、そんな古川さんを完膚なきまでに叩きのめす勝ち組依藤さんの対比が、最高に面白くて、腹が捩れるほど笑ってしまう素晴らしいコント。腹立たしいほどに面白い設定もさることながら、古川さんの放つ自意識が肥大した究極のツッコミに、もはや顎が外れるかと思うほど笑ってしまった。 もはや聞いて、笑ってもらうしかない。サスペンダーズの最強コントである。  

2019年7月16日『サプライズ誕生日パーティーhttps://www.youtube.com/watch?v=y6vbR2F_Spw

もうさぁ、なんでこんなに面白いコントを生み出せるんだよって、嫉妬するくらいに面白いコント。こんな設定のコントはサスペンダーズにしか生み出せないし、これを面白く出来るのはサスペンダーズ以外にありえないのではないだろうか。それまでの誰もやって来なかった部分を、見事に抉り出して観客に差し出して見せるサスペンダーズの二人に、見る者は笑うしかない。古川さんのどうしようもなさと、依藤さんの勝ち組オーラにひれ伏すしか無い。これほどまでに面白いコントは、語るよりも見て笑ってもらった方がいい。2019年からのサスペンダーズに関しては、もう、見て笑い死んでくれとしか言えない。面白すぎる。異常なほどに面白い。  

2019年8月14日『教育実習生』 https://www.youtube.com/watch?v=6oHZmn0iONA

自分で自分にツッコミを入れる古川さんの箍の外れた強烈な面白さと、真人間依藤さんの芯の強さが激突するコント。もう暴れ狂うかのごとく自らにツッコミ続ける古川さんの姿が最高である。2018年までのコントは、狂人古川さんが自分に突っ込むことは無かった。大体のツッコミは依藤さんが担っていた。ところが、2019年以降に、古川さんがボケて、さらにボケたツッコミを自らにすることによって、古川さんの劣等感が加速し、同時に、そんな劣等感の塊に対して、理解できないという態度を示し、それによって圧倒的な優等生感、勝ち組感を放つ依藤さんのキャラが深まり、もはや日常生活と地続きと思えるような二人の関係性が、コントにまで染み込んできた最高の作品である。 細部までこだわりを持ち、配慮しまくる古川さんと、勝ち組故に何をやっても成功してしまう依藤さんのスーパー感の差が、絶妙に面白い。これは、二人のYoutubeチャンネルを見ている人ならお分かりいただけるだろう。依藤さんはとにかく、勝ち組オーラが凄いのだ。  

2019年9月12日『留年生』 https://www.youtube.com/watch?v=sD9qtSIpLbg

学校を題材にしたコントで、これほどまでに面白いコントを僕は見たことが無い。ここでも、劣等感の塊となった古川さんと、圧倒的に恵まれた得体の知れない優位性のある依藤さんとの対比があって、めちゃくちゃに面白い。古川さんの背負う業に対して、古川さん自身が自問自答し、憤慨する姿がめちゃくちゃ面白い。 物凄くねじ曲がってしまった古川さんのパンクっぷりと、依藤さんの『努力しなくても友達ができてしまう感』の対比が、もう最高以外の何物でもない。 もはや、この状況にふさわしい言葉が見当たらない。『やるせなさの爆発』としか言いようがない。僕はそれ以外の言葉を見つけることができない。『やるせなさの爆発』こそ、サスペンダーズの面白さの真ん中にある気がしてならない。 もっとふさわしい言葉を見つけるために、僕はサスペンダーズのコントを見続けたいのだ。  

2019年10月12日『タイムカプセル』 https://www.youtube.com/watch?v=s2rr5SuebiU

教室の仲間とタイムカプセルを埋めるというどうしようもないイベントを、これほどまでに面白くできたのは、サスペンダーズの他にいない。断言できる。こんなに面白いコントを生み出せるのはサスペンダーズしかいない。古川さんの『やるせなさの爆発』と、そんな爆発を片手で捻りつぶしてしまう圧倒的なパワーを持った依藤さんの姿が面白い。依藤さんの真人間さと古川さんのひねくれ具合が絶妙な相乗効果を生んでいる。 これももはや見てもらう方が早い。僕がいくら言葉を紡ごうと、サスペンダーズの面白さはその数千倍もあるのだ。百聞は一見に如かず。見て大笑いして呼吸困難になってしまえばいいのだ。  

2019年11月15日『占い』 https://www.youtube.com/watch?v=mEGq9zs6CPg

そこを切り取ってきたのか!!!!という凄まじいまでの着眼点と、その着眼から一つも面白さを取りこぼさず、徹頭徹尾面白いという完璧なコント。 床に転がってしばらく笑い転げ、酸素を求めてしまうほどに大笑いできる作品で、どれだけコント作りで練られたのかは分からないが、ことごとく展開が面白く、サスペンダーズのコント作品の中でも、五本の指には入るであろう屈指の爆笑コント。 路上の占いをコントにし、ここまで面白くできるサスペンダーズの才能に脱帽する。尻の毛まで震えるほど笑ってしまう最高のコントなので、見る人は注意しよう。  

2019年12月12日『バウムクーヘンの試食』 https://www.youtube.com/watch?v=HwhIVNGZnBM

もはや向かうところ敵なし。サスペンダーズの切り取る世界が面白くて面白くて仕方がない。一体、どんな風に生きていたら、この場面をコントにしようと思いつくのか。一体、どんな生活をしたら、こんなに面白い古川さんが生まれるのか。もう、どれだけ頭を働かせても、このコント設定を生み出した発想と、そこから怒涛のごとく展開する爆笑のストーリーに笑うしかない。むしろ、頭を働かせる隙もない。目の前で繰り広げられる光景に、もう笑うしかない。気がつけば笑っているのだ。北斗神拳じゃないけど、「お前はもう、笑っている」という瞬殺のコント。 いやぁ、それにしても、マジでなんでこれをコントに出来るのか。。。 サスペンダーズの見つめる世界は、面白さに満ち溢れている。  

2020年1月15日『チューリップ』 https://www.youtube.com/watch?v=f9f9I4sODG0&t=2s

思わぬアクシデントから、依藤さん演じる生徒にめちゃくちゃ詰められ、精神が崩壊していく古川先生のコント。古川先生の崩壊っぷりもさることながら、古川先生を疑い、ピュアな暴力を炸裂させる依藤さんの姿も面白い。 これも、どんな発想でこれをコントにしようと思ったのか。本当に凄い。こんなの普通、思いつかない。日常の、ほんの些細なアクシデントを、極限にまでブーストさせてしまう古川さんの業。そしてその業に対して徹底的に詰め寄る依藤さんの業。業と業のぶつかり合い。この二人だからこそ、面白く出来る最高のコント。 古川さんの人と成り。性格。クズっぷりを全て把握しているど真ん中人間依藤さんの言葉が、痺れるくらいに面白い。追い込まれ、焦りながらも、必死に言い訳してドツボにハマっていく古川さんの姿も最高に面白い。 最高なんだよ。もう最高なんだサスペンダーズは。  

2020年2月25日『レゴブロック』 https://www.youtube.com/watch?v=gS7Kta-DHPo

前作『チューリップ』同様、思わぬ勘違いから、負のスパイラルに陥って抜け出せなくなる古川さんと、勘違いなのだが突き進んで一歩も引かない依藤さんとの対比が最高のコント。古川さんのどうしようもない勘違いのされっぷりと、もはや勘違いしたまま、疑いの余地もなく古川さんを否定しまくる依藤さんの姿が面白くて仕方がない。 ただ生きているだけで、あらぬ勘違いをされてしまう古川さんの背負う業の深さが見事に発揮されためちゃくちゃ面白いコントだ。  

2020年7月15日『回転寿司』 https://www.youtube.com/watch?v=vyzCsTiMJhI

古川さんの駄目っぷりがエスカレートするとともに、依藤さんの真人間っぷりも磨きのかかった最高のコント。出だしから古川さんの駄目っぷりが発揮され、もはや『ダメ人間古川のジェットコースター』と言っても過言ではないくらいに、ずっとダメダメな古川さんが面白いコントである。ダメさに説得力を生み出す古川さんの様子が最高であるのと同時に、真っ当さに説得力を生み出す依藤さんの様子も最高である。なんなんだこの二人は。最高かよ。こんな最高の二人を僕は他に知らない。まさに、時代が生み出し、神がめぐり合わせた最高の二人。それがサスペンダーズであろう。 2019年まで、ずっと狂人を『演じてきた』古川さんが、2019年以降、逃れようのない自分のダメ人間っぷりに向き合い、それがコントに染み込んで昇華された。そして、ずっと真人間であり、ずっと古川さんに寄り添って古川さんを注意し、正してきた依藤さんの真っ当さがそのまんま成長し、コントに染み込んで昇華された。 生まれるべくして生まれた二人だけの、唯一無二のコント。 こんな面白いコントを作るサスペンダーズに、2020年に出会えた僕は幸運だった。 こんな凄い二人を、僕はもう見逃せないのだ。  

2020年8月19日『お土産』 https://www.youtube.com/watch?v=6z4rSCWTX0Q

全てが裏目に出てしまう古川さんと、裏目に出た行動をすべて叩き潰す依藤さんのコント。自分ツッコミの鋭さが増した古川さんと、どこまでも古川さんを追い詰めてしまう依藤さんの姿がおもしろい。依藤さんの追い詰め具合には悪気がなく、非の打ちどころがないほどド正論であるところも面白い。古川さんのどうしようもない性格が見事に発揮された最高のコントである。  

2020年9月15日『知恵の輪』 https://www.youtube.com/watch?v=q5LuogRLogE

これについては、以前こちらに書いた   なぜサスペンダーズの『知恵の輪』は素晴らしいコントなのか - 落語・講談・浪曲 日本演芸なんでもござれ  

2020年11月16日『お弁当選び』 https://www.youtube.com/watch?v=p4wJvpf_ByY&t=83s

とんでもない機会損失をした古川さんと、栄光を味わい続ける依藤さんとのコント。何の気なしの行動によって、輪から外れてしまった古川さんの言葉の一つ一つがめちゃくちゃ面白い。状況説明と同時に、自分自身に言い聞かせるかの如く放たれる古川さんの自分ツッコミと、そのツッコミをどこまでも素知らぬ顔で過ごす依藤さんとの対比が、古川さんにとって惨すぎるゆえに、めちゃくちゃ面白いコントだ。 この着想もさることながら、ストーリーテラーとなった古川さんの淡々と状況を認識して受け入れていくツッコミが最高に面白い。古川さんの面白さがとんでもない。同時に、そんな古川さんに対して、輝かしい時間を享受した依藤さんの勝ち組感もえげつない。単なる『お弁当選び』の場面なのに、こんなにも格差を感じさせ、面白いコントが他にあるのだろうか。サスペンダーズは最高である。。。  

2021年2月16日『教育実習生』 https://www.youtube.com/watch?v=9xajnAWWZms

現時点で最新作のコント。依藤さんの凄まじいまでの優等生感。そして、その優等生感に信じられない程劣等感を抱く古川さんの姿がめちゃくちゃ面白い。生み出すコントの全てが面白い。古川さんのダメっぷりが最高で、後半、壊れたロボットのようになる古川さんの姿が最高である。 この二人の言いようの無い差も、面白さの秘密なのかも知れない。 一つ、この前に上がっていた動画で、素晴らしいものがあったのだが、見れなくなっていた。およそ全てを網羅できていると思うが、これでサスペンダーズのコント解説は以上である。    サスペンダーズの黄金時代が来る 僕はサスペンダーズがたまらなく好きだ。 2020年の3月にグレイモヤで、サスペンダーズの『ペイチャンネル』のネタを見て以来、もう心の底からサスペンダーズが好きで好きでたまらない。 コロナによって、サスペンダーズの面白さは、サスペンダーズの凄さは、さらに凄まじくなっていった。今はもう伝説?のハクナ配信。相変わらずの力関係で配信されるYoutube。どこをどう切り取っても、こんなに面白い二人組を僕は知らない。 だから、僕は力になりたいと思った。 こんなに素晴らしいサスペンダーズの二人を、世間が知らないのはおかしいと思った。正当に評価されて然るべきだと思った。音楽で言えば、The Smithみたいな二人組なのだ。それまで、誰も切り取って来なかった分野。それまで誰も見て来なかった分野。それまでの誰も、コントに出来なかった分野をコントにし、そして、信じられないほどの面白さで客席を爆笑の渦に巻き込む。 それがサスペンダーズなのだ。 もう一度言う。 それが、サスペンダーズなのだ。 古川彰悟と依藤昂幸の二人が生み出すコントが、 僕は必ず、それまでコントというものに面白さを感じなかった人をも虜にする。 僕は確信している。サスペンダーズの生み出すコントは、それまでのコントでは見たことのない世界だ。テレビを探しても、路地裏を探しても、空を探しても、天国を探しても地獄を探しても、どこにもない。 サスペンダーズの二人が舞台に立ち、コントをする。 その瞬間にしか無い。最高に輝いた世界なのだ。 だから、僕は多くの人に見て欲しいと思っているし、いずれは多くの人が見るだろうと確信している。 優れた才能を持ったサスペンダーズの二人は、絶対に見逃されない。 きっと、お笑いに携わる人ならば、誰でもサスペンダーズの二人の面白さに気づいていると思う。誰も言葉にしないなら、僕が言葉にしようと思った。 面白いのだ。サスペンダーズは、とてつもなく、唯一無二なのだ。 同時に、これからサスペンダーズがどんな進化を遂げるのか。 僕はそれが、たまらなく楽しみでならない。 まだまだこの二人から眼を離すことなんてできない。 この記事を読んで、あなたがサスペンダーズにドハマりして、 明日から劇場に突撃してくれたら嬉しい。 それが、僕の願いである。