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有益デストラクション&ファイヤー~黒門亭二部 2019年11月3日~

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ピョコピョコ感

 

じんわり感

 

さらさら感

 

ぽつぽつ感

 

バリバリ感

 

目が覚めてOh No

自分に関する残念なニュースを見ると、テンションがダダ下がりして、ウルトラ怪獣ダダになることが、しばしばである。この前は私の書いたレビューの誤用コメントを見てダダに変身。今朝は唐突な別れを知りダダに変身。昨晩飲み過ぎて体がダルい自分に嫌気がさしてダダに変身。

鏡を見て「ダ・・ダ・・・」と呟きながら、ダダをこねることも出来ず、ただただ茫然とする。いっそ、ダダをこねて饅頭にして店を開き、木下優樹菜に脅されて、その脅迫文を出版社に売り込んだ金で幸せになれたらいいのに。

現実は、そんなに甘くない。事実が放った矢は確実に私の的を射抜く。那須与一も望月重隆もびっくりの命中率。気分は墜落していく。

食べているラーメンを急に取り上げられて、五郎さんが「子供がまだ食ってる途中でしょうが!!!」みたいなことは、恋愛に関しては全く起こらないということを知る。恋愛の始まりに途中は無い。気が付けばラーメンという名の恋は取り上げられているのである。「まだ私が恋してる途中でしょうが!!!」なんて台詞は、一生吐くことはできない。

そんなことを知った朝だった。北の国からあ~あ~あ~あ~

 

Dog Show Kind

かろうじて人間の身体に戻った私は、まるで萩尾望都先生の『半神』のように、綺麗だった姉の栄養を全部吸って、それまでの醜い姿から一変して綺麗な体になり、姉の分も精一杯生きようという心持ちで鏡の前に立った。私はエドガーでも無ければアランでも無かったし、トーマでも無ければユーリでも無かった。誰かを救うために死ぬことが出来るほど強い意志も無ければ、見ず知らずの他人を吸血鬼一族の仲間に取り込むほどの覚悟も無かった。私は私でしか無かった。

お決まりの服に着替えて家を出た。少し寒かったが耐えた。敢えて寒さに身を晒すことで、自らに罰を与えようとしていた。否、大丈夫だと思って外へ出たのだ。結果、全く大丈夫ではなかった。寒かった。寒すぎてくしゃみが出た。

自分ではどうすることもできないアンテナが察知して、とても知的な人々が集まる読書会に参加した。皆、経済やら経営やら、今後の未来やらに対して、とても強いビジョンを持っていた。自分のつま先の爪の長さすらわからないような私には、とても恐れ多い会だった。私の脳みそはマックシェイクだから、攪拌が止まると凝固する。興味の無いことには一切興味が無いという性格が災いし、何も言えなくて夏19'が流れ始めそうだった。

有益な時間なんて、無い方が良いのだ。1mmも有益ではない時間を過ごすことが、どれだけ楽しいことか。有益なんてぶっ壊してしまえばいいと思う。何かと人々は「利益、利益」だの「老後、老後」と言っているが、私にとっては利益より秀樹、老後より省吾である。傷だらけのローラと悲しみは雪のように、である。もっと言えば、有益より湯川秀樹。無益より無人駅である(最後はちょっと違う気がする)ロオオウラァアアアア、ウォオオオオオオーである。

有益をぶっ壊して、心に火を点けたら、The Doorsよろしく、カモン・ベイビー・ライト・マイ・ファイヤーな気持ちで、イントロの「デーデッデデ、デーデッデッデ」のメロディに合わせてスキップする。

悲しくなったら、何もかもぶっ壊したくなったら、

落語を聞こうよ。落ち着くよ。オチ付くよ。

 

Cool Mond Stay Hey

今日は三遊亭天歌さんがどうしても見たかった。割と『甲子園の土』に当たる確率が多くて、今回はネタ出しで『死神王のまね』だったので、ネタ被りも無く見れると思い、黒門亭に入った。

若い女性が多く、目を奪われるほどの美人揃いの客席。思わず秀樹・感激な気分になりながらも、着座。

イケメン揃いの『光る二つ目の会』が始まった。

 

古今亭菊一 子ほめ

古今亭菊太楼師匠のお弟子さんの菊一さん。さすが菊太楼師匠のお弟子さんだけあって、上半身のピョコピョコ動く感じが、どことなく菊太楼師匠を彷彿とさせる。

「あー、似てるなー、すげぇなー」

くらいに見ていた。ハーフ?かと思うような端正な顔立ち。はっきりくっきりとした表情。ハリのある声と師匠譲りの所作。

今後、どんな風に自分の色を出していくのか楽しみな前座さんだ。

 

三遊亭天歌 死神王のまね

お目当ての天歌さん。飛び交う蠅?も何のその、寛大な心で演目に入る。天歌さんの登場人物は人間味があって好きだ。特におじいちゃんの雰囲気が素晴らしい。

この演目の簡単な内容は『死神という古典落語の謎を話し合う』という話。おじいちゃんが孫の質問を誤魔化すときの強引さが堪らなく面白い。古典落語の『死神』を知らなくても、聞くだけで大体の内容を知ることができる。

何とも言えないおじいちゃんの空気感と、想像のシュールさの対比が面白い。自分でも「うーん、どういう意味なんだろうなー」と考えることもなく、ただただお爺ちゃんの想像に付き合っている楽しさがある。オチも軽く「おおっ!」となる感じだった。

私が言うのもおかしいけれど、日常に起こるおかしみにふっと、温かい幸せを足すような落語が、天歌さんは得意なのかも知れない。

滲み出る優しさと、宮崎への愛も詰まった素敵な一席だった。

 

 春風一刀 粗忽長屋

春風亭一朝師匠門下の一刀。不思議な雰囲気の方だなぁ、と思う。どこかふらふらっとしている雰囲気もありながら、どっしりとした芯の強さもある感じで、何となく掴めない。声のトーンには志ん朝師匠と同じ音の雰囲気を感じる。目を閉じて聞くとスッと気持ち良く眠れる感じがある。リズムは落ち着いている。

まだまだ色んな話を聞かなければ、言葉が見つかってこない噺家さんだった。

 

 柳亭市江 天狗裁き

言葉が見つからなかった。

 

春風亭㐂いち 不動坊

ド迫力の大声で勢いは竹の如く、さらっと男前で気風が良い。リズムも心地が良いし、何より声の威勢が良い。明るくて元気が良い雰囲気が素敵だった。

 

 総括 STRONG 

ほくほくとした気持ちで帰宅。途中で明日の買い物を済ませた。ぼんやり眠って、ぼんやり本を読む。三連休もあっという間に過ぎていく。

筋トレをして、食事をする。身体も精神も鍛えていかなければならない。

色んなことが起こる世の中だけど、傷ついたら落語を聞けば良い。

温まりたかったら、銭湯に行けば良い。

吾、唯、足ることを知る。

そんな風にぼんやり生きるのが、私の性に合っているのかも。