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誇りある今を生きる~2019年2月24日 浅草ロック座~

見たいものは見たい。俺はそれを我慢できない。

 Don't Stop Me Now

 正直に白状するが、私は女の裸体というものに尋常ならざる興味がある。

 直接に見ずとも、白桃を齧る時なぞ無意識の内に女の裸体を想起し、山が連なる様なぞは格別で、海に浮かぶ藻なぞを見ると武者震いし、白磁器を見ると腰が抜ける。

 実物を見たら気を抜かす私であるが、今回はどうしても我慢できず、女の裸体を見るためにとある場所を訪れた。

 

 浅草ロック座と神々の話

 通い慣れた浅草演芸ホールを過ぎ、月に乗り呑気な表情を浮かべるペンギンの店を過ぎ、勝負師たちの自転車がずらりと並んだ『PANDORA』というパチンコ店の手前にそれはある。

 名を浅草ロック座。昭和22年の創立で収容人数は約130名。

 現存するストリップ劇場の中で最も歴史が古く、数多くの女性がこの場所で服を脱ぎ、男達はその姿に魅せられてきた。

 裸に魅せられるのは何も人間だけではない。

 もとより、日本では裸に魅せられた神々の有名な話がある。

 かつて、天照大神は素戔嗚の乱行に堪り兼ねて天の岩屋戸に籠った。

 そして世には常闇が訪れた。

 神々は頭を悩まし様々な策を講じたがどれも上手く行かない。

 そんな悩みの最中、一人の女(天鈿女命)が上半身を露わにして岩屋戸の前で踊った。

 それを見た神々は腹を抱えて笑い、その笑い声に疑問を抱いた天照大神は岩屋戸から顔を出した。それがきっかけとなり、天照大神は岩屋戸から引きずり出される。

 これは、日本神話『天岩戸』の要略である。

 古来から、裸体と笑いは神をも誘うらしい。ならば、私が誘われるのも無理はない。伊弉諾尊ならぬイザナワレノミコト、である(何が”である”かは分からぬ)

 

 早朝 長蛇の列

 開場時刻の12時前に浅草ロック座に辿り着くと、既に50人ほどの列である。隣の『PANDORA』からは箱を開けるまでもなく呪われた勝負師達が、天中殺で生きていることに気づかぬ様子で、目にいっぱいの悔しさを滲ませて、おしぼりを誰のものとも分からぬ自転車の籠にぶっきらぼうに放り投げると、「ちっ」と舌打ちをして去っていく。

 ロック座の列に目を向けると、欲望に目を輝かせた中年が大多数を占めているかと思いきや、意外にもちらほらと美人な女性の姿も見える。ワンカップを片手にどこのメーカーの、何という文字が書かれているかも分からない薄汚い帽子を被った髭面の老紳士が、下卑た笑い声をあげ、美人に向かって「へへっ、ねぇーちゃん。この行列は何の行列だい?」と、さも知らないという素振りを装って話しかけ、美人はあっけらかんと「ストリップですよ」と答え、予想外の答えに拍子抜けした老紳士は、「そうかい」とつまらないと言わんばかりの表情で去っていく。浅草よ、私はお前を愛す。

 開場時刻になって、ぞろぞろと列が進む。まるで監獄に収容される囚人のような心持ちで前の人に従って歩く。足に鉄球は無く、笠も被せられていないが、どうにも囚人のような後ろめたさを拭い去ることが出来ず、列に並ぶ男達の顔を眺めては心の中で「あなたも、あなたも、みんな、共犯」と呟いて自らの心を慰める。

 合法的に裸体を見るのだ、という言葉が頭をもたげ、『合法的』という言葉に引っかかりながらも、入り口の手前に来る。綺麗なハート型の風船と花が飾られ、出演する演者の名が書かれたプレートを発見する。その真っ赤な花の色に目を奪われながら、一歩一歩階段を上ると、壁は鏡張りになっていて、自らの顔を嫌が応にも見なければならず、何とも言い難い無表情である自分を見つめ、「案ずるな、委ねろ」と再び心中で祈り、木戸で7000円を支払った。たっかい。

 

 ステージ 強面の統率者

 丁度、消しゴムにマッチ棒の火を点けない側を突きさし、火を点ける赤い方を自分に向かって倒したところを想像して頂きたい。それが会場の舞台である。

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 マッチ棒の赤い部分は円形で、360℃回転する。棒の左右と赤い部分に椅子が置かれており、大体130席ある。私は丁度、マッチ棒の赤い部分を正面から見る位置に座った。いわゆる『かぶりつき席』である。(読者からの冷たい視線を感じる)

 会場内は『飲食禁止』、『携帯禁止』である。この規則を破ると、ロビーで券をもぎり、会場の統率者として君臨する強面の男性に烈火の如く怒鳴られる。私の隣にいた若い男性は会場内で携帯を使っていたがために、物凄い剣幕で怒鳴られていた。普段、寄席に通いなれている私からすると、恐怖以外の何ものでもなかった。

 13時近くになると、130席は満席となり、左右の立ち見で20名ほどいる。

 超満員であった。

 いよいよ、公演『Dream On』が始まった。

 

 第一景 桜庭うれあ

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