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【Day 4】畔倉重四郎 連続読み~2020年1月 神田松之丞~

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その時は知らなかった

チバユウスケ『人殺し』

第十三話 おふみ重四郎白洲の対決

テレビ番組の取材が入っているためか、昨夜の『重四郎召し捕り』をダイジェストで熱演。その後、白洲の場へと突き出された重四郎の様子が本物の悪人を感じさせる。

特に、松之丞さんの語りでは、おふみと重四郎の対比がまるで光と闇のように、絶妙の緊張感を生み出している。夫だった三五郎の言葉を信じ、たどたどしくも力強く、杭を打つかのように言葉を振り絞るおふみ。盲人の城富が憎しみを抑えながらも重四郎に言葉を発する。

だが、重四郎は微動だにしない。「証拠を出せ」と迫ったり、おふみを「狂女」と言って罵る。もはやニコニコとして誰からも慕われる大黒屋重兵衛の姿はどこにも無い。

重四郎の心には恐怖が無いのだ。たとえ白洲の場に出ようとも、一切の恐怖が無い。むしろ、自分の行動全てを誇らしく思っているかのようにさえ見える。およそ人としての常識が当てはまらず、人の命を尊んだりするという気持ちが見えて来ない。むしろ、全てのことが『俺の思いのまま』だと言わんばかりに、自分そのものを貫いていく。

清々しいほどである。ここまで振り切れた人間は面白い。重四郎の放つ闇が濃ければ濃いほど、どれだけ光を放とうとしても、おふみの思いは飲み込まれてしまう。

そして、その様子をじっと眺めながら、大岡越前は真実を見極めようとしていた。

 

第十四話 白石の働き

悪に鉄槌を下す大きな一席。前半からコミカル感満載で、特に乞食に化けた白石の姿が面白い。ここまでのお話を聞いていると、慶安太平記のような幕府転覆という壮大なスペクタルは無いにせよ、畔倉重四郎の残忍さが際立つ場面もあれば、城富やおふみの清らかさが目立つ場面もあって、なかなか飽きが来ない。そこにきて、大岡越前に仕える白石の見事な働きぶりと、とある話に仕込まれた伏線が見事に回収される秀逸な話である。

なんと言っても白石である。この一席だけで、いかに優れた部下を大岡越前が持っていたかが分かるし、何より、重四郎の前に叩きつけられた証拠、そしてそれを持ってきた白石のカッコ良さ。

この一話で、見事に畔倉重四郎の闇に一閃を走らせた白石が見事だった。

 

第十五話 奇妙院登場

重四郎に叩きつけられた証拠に対して、重四郎がどんな反応を見せたのか。深く語られることなく、話は牢屋に入った後の重四郎の話。

それほど大きな起伏は無いが、後に繋がる話とのことで、奇妙院という老人が登場する。

最終日には、奇妙院の悪事、そして重四郎の最期が語られるとのこと。

四夜目にして、あまり気合の入っていない記事になったが、それでも、十四話目がとても良かったので、満足。