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自称・演芸ブロガーが語る日本演芸(落語・講談・浪曲)ブログ!

鹿児島の怪鳥 三遊亭歌之介

おばあちゃんが川に飛び込んだ。

ばっちゃーん。

 

子供「ねぇ、ママ。どうして僕は一人っ子なの?」

母「あんたが早く寝ないからよ」 

  サム・クックやトニー・バロウズなど、魅惑的な声を持つ人は実に幸運だと思う。七色の声を持つという人間というのもいるらしい。七色も声を持っていたら、聴いているだけで退屈しない。落語家にもそういう類の声色を持った者が数人いる。

 落語家には、声色や間でもって笑いを取る人がいる。大きく分けると『間』と『ワード』で笑わせる人間がいて、この『間』というのは柳家小三治柳家さん喬などベテラン勢に多い。絶妙の間と、言葉を紡ぐリズムに思わず笑ってしまう。若手では浪曲師だが玉川太福などがパッと思いつくところだ。

 逆に、『ワード』で笑わせる落語家は若手に多い。三笑亭夢丸、柳家やなぎ、三遊亭粋歌などがパッと思いつく。ベテラン勢だと柳家小ゑん林家彦いちなど、新作派にも多い。というか、新作派の多くは間よりもワードが多いと私は考えている。『ぐつぐつ』に見られるおでん擬人化による特異なシチュエーションを利用し、そのシチュエーションで活きる面白い言葉を紡いでいく。

 さて、声色から随分脱線してしまったが、これから紹介する落語家は声色とワードと間、全てを絶妙に混ぜた爆笑派である。名を三遊亭歌之介、三遊亭圓歌を襲名することが決まっているベテランの噺家さんである。

 この人は寄席ではほとんど新作しかやらない。というか、古典をやっているところを聞いたことがない。けれど、三遊亭歌之介師匠のすばらしさは、同じ話を何度やっても面白いと思えるところである。ここで特に書くべきことではないのだが、どうせ大してまだ読者もいないので書くが、寄席に柳家はん治という落語家がいる。私はこの落語家が大嫌いで、出てくる度に殆ど同じ噺しかしない。『妻の旅行』という新作があるのだが、私はもう耳にタコが出来るくらいに聴いた。頑ななまでにそれしかやらないので、最初は面白いと思っても、それ以降がちっとも面白くないのである。もう聞き飽きた。他の話を聞かせてくれと思うのだが、もはや聞きたいとも思わなくなった。ベテランであっても寄席で新しい一面を見せるほどの気概を見せてほしいと思うのだが、もうそんな気持ちさえ失うほど『妻の旅行』を聞いたので、正直どうでもいい。

 同じ話をしても面白いというのは、落語家の力量を計るうえでとても大切なことである。三遊亭歌之介師匠の『B型人間』や『爆笑龍馬伝』などを聴いていると、同じ噺なのにとても面白くて笑えるのである。それは『間』と『声色』、何よりも歌之介師匠自身が奇人っぽいところがウケているのだと思う。

 他にもご紹介したい落語家では、これはもう語りつくせないのだが、古今亭文菊師匠の『長短』や『あくび指南』なんかはもはや名人芸であるし、柳家さん喬師匠の『時そば』なんて、もう喝采もののそばの食べ方であるし、古今亭駒次師匠の『十時打ち』も聴くたびに爆笑である。落語好きになるうえで、同じ話をしても面白い落語家を発見したら、是非とも独演会やほかの会にいっておっかけて頂きたいと思う。なぜ面白いと感じるのかというのを忘れて、とにかく聴いて欲しいと思う。

 さて、再び歌之介師匠である。この人の奇人エピソードは多々ある。特に林家きく麿師匠が体験したという『酒に謎の一滴を垂らす』話は必聴である。もはや奇人ならぬ怪鳥である。トリでは両腕を大きく広げてばさっ、ばさっと話をする歌之介師匠。

 是非、見て頂きたい落語家である。